【成年後見制度と遺言書】

皆さん、こんにちは。神奈川県横浜市港南区にて活動中の行政書士、近田知成です。

記事投稿第86回目となる今回のテーマは【成年後見制度と遺言書の関連活用】についてです。


第8回目記事投稿で、【遺言書作成をお勧めするご家庭ケース】についてご紹介いたしましたが、今回はその中から『③心配なご家族がおられる場合の遺言書と成年後見制度の活用』実例を記していきます。

関連URL:【遺言書作成をお勧めするご家庭ケース】

例えば、【お子様が何らかの精神上の障がい、又は、知的障がいをお持ちで日々の生活にサポートが必要】である場合、親御さんがご健在であるうちは様々な福祉サービスを活用しつつ身上保護にあたる事が出来ると思われます。

しかしながら、親御さん自身が【年齢を重ね、身体的不調から上記のような見守りが困難】となれば、お子様の生活状況は不安定となってしまいます。

更に、もし親御さんの不調が身体症状に留まらず【認知に問題が発生】したとなれば、その生活状況はより混迷を深めるかもしれません。


このような【将来的に到来するかもしれない不測の事態見越して】、事前のリスク管理を検討するならば、(一例ではありますが・・)お子様へは【法定後見制度の活用】を、加え、親御さんへの対応として【任意後見契約+遺言書作成】がご提案できるかと思います。


先ず、お子様の状況から確認していくのですが、知的障がい、又は、精神障がいの影響により他者との契約締結が叶わないならば(お子様自身の)【任意後見契約の活用】は難しいかもしれません。

その為検討の方向性としては、【法定後見制度】によるご本人保護へシフトすると思われます。

関連URL:【成年後見人制度について】 【法定後見人制度について①】

家庭裁判所へ事前に問い合わせをし、実情の説明と申立ての為の書類一式を入手し手続きをスタートさせます。

成年後見人選任の申し立て】を行い、無事に後見人が選任されれば、後見人による【財産管理と身上保護事務が開始されお子様の権利を保護する態勢が整う事になります。


ただし、この申し立て以前の課題として【親御さんの体調悪化によりお子様の身上監護に支障が起きないよう】、(お子様への後見人候補者として【お子様の生活や内面(この内面を特に重視される方が適任!かと思われます。)を尊重できる専門士業の方】を選任してもらえるよう、家裁へ働きかける事が大切なポイントであると言えるでしょう。

つまり、【身上保護により重きを置いた手厚いサポート】が必要となる・・・と思われる場合には【成年後見団体に所属している社会福祉士】のような方が選任されると安心なのではないでしょうか。(実際には家庭裁判所が判断して後見人を決定するのですが、後見人候補者等にこれらの士業の方を記入して家裁に実情を知ってもらう事は可能なのですから。)

この点、後見分野の専門職団体にはそれぞれ【相談窓口】がありますので、一度ご相談をされてから家庭裁判所への申し立ての準備をなさると良いかと思います。


次に、親御さんへの対応ですが、身体的に不調であったとしても【判断能力に疑義が無ければ】、ご自身が信頼されている方任意後見契約を結んでおく事が可能です。

基本的な財産管理事項から介護サービス利用の契約締結等の身上監護面も網羅した【代理権】を目録に盛り込みご本人の権利保護を確保します。

関連URL:【任意後見契約:代理権について】

そして親御さんの懸案事項である【お子様へのサポート】として、上記法定後見制度による保護だけでなく、自身の任意後見契約にもひと工夫を加えます。

それは、認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、【適切な型で自身の財産をお子様へ支出】する手立てを模索し、任意後見契約に反映させるというものです。

としては、公正証書で契約書を作成する際に【お子様への適切な財産の支出行為】を【代理権目録】に追加記載する事で対応します。

この状態を作り出す事により、お子様自身では管理が難しい財産関係を後見人に見てもらいつつ親御さんからは任意後見人を通しての支出行為で生活支援体制を確立出来ます。

この体制構築で考慮すべきは、やはり【任意後見受任者の選定】になるでしょうか。

関連URL:【任意後見受任者の資質】

ご本人の生活事情・病状に加え、当該支出行為への理解がある方に担って頂く必要があるかと思います。


上記一連の予防策取り得る方法の内の一つであり、決して他者から強制されて行うものではありません。その有効性を十分検討し、ご納得した上で形作られるべきものです。

また、精神上の障がいをお持ちの方が、親御さん自身の身に何か起こったとしても安心して地域の中で暮らしていく為には、【先ずもってその方に寄り添う関係者の方々の協力が不可欠(ここが一番のポイント!)】です。

域連携ネットワーク土台として、各方面に働きかけ実際に【フットワーク良く動ける方如何にして確保し家裁への推薦を含めマッチングを行っていくかが、親御さん・お子様両者の生活安定の鍵なると思います。

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