【法定後見人制度について①】

前回に引き続き、今回も【成年後見人制度】の一態様である【法定後見制度】、その【申立て前のポイント】についてお話ししていきたいと思います。(今回記事は法定後見制度を利用するご本人の【ご家族】が申立人となるケースを念頭に進めていきます。)


法定後見制度】は【精神上の障害により判断能力の低下既に始まっている方】を対象とし、【家庭裁判所】により選任された後見人等がその方の【財産管理と身上監護(保護)をする】制度です。


法定の申立権者は以下のようになっています。

本人・配偶者・四親等以内の親族・未成年後見人・未成年後見監督人・後見人・保佐人・保佐監督人・補助人・補助監督人・検察官 (身寄りのないお年寄りが福祉を図るため特に必要な場合、申立人がいない等の問題が発生する事も踏まえ、市町村長にも申立権が付与されています。)

当該制度は、【本人のお住まいの住所地の家庭裁判所】に申立てる事になるので、事前にその管轄家庭裁判どこになるのか確認されてから利用手続きに入るのが大切です。一度問い合わせ管轄の家庭裁判所に)をしてみて、必要書類・掛かる費用・後見人等選任までの期間・その他の疑問点の洗い出しと払拭をする事も寛容かと思います。

法定後見制度】利用の場合は、将来的に必要となる状況に備え準備をする【任意後見制度】とは違い、その制度利用切迫度の高いケースがほとんどでしょうから、申立手続きにおいても必要書類を余すことなく提出し、利用開始時期を遅らせないようにするべきです。

関連URL:http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/koken/seinen-koken/index.html


提出する添付書類の中での留意ポイントの1つが、【医師の診断書】になるでしょうか。

後見人等選任の審判過程においては手続き上【本人の判断能力に対する鑑定】が(原則)行われる事になっています。上記【医師の診断書】は当該鑑定を実施するか否かの基礎判断資料ともなり得る重要書類なので、本来的には【精神医学に精通し後見制度に対する理解のある医師の診断書】が理想なのですが、実際上実務の現場では【主治医の診断書】での申立てが少なからず行われているようです。

触れておかなければならない情報として、家庭裁判所の審判過程においては上記原則通りの鑑定】が頻繁には行われてはおらず、【主治医の診断書】を基にした判断のみで選任種別を確定する事も多いのが現実です。

後見制度利用をする方の【後の生活を左右するとても重要な資料】となるこの【主治医の診断書】は、決して簡便に軽く考え用意するものではなく、ご本人の【リアルな判断能力の実情】が反映されている書面を用意すべきです。その為にも、申立人としては、診断書を書いて頂く医師が患者となる本人の事をどれだけ理解しているのか?の把握に努め、通り一遍の書面にならぬよう【信頼に足る医師への依頼】を心掛けましょう。


また、事前に把握しておきたい知識として、【法定後見制度】は本人の判断能力の状況に応じて補助】・【保佐】・【後見】と3つの類型に分け運用がなされている事が挙げられます。


注意すべきポイントは、どの制度に該当するのか最終的判断申立権者には帰属せず、審査をする【家庭裁判所】に決定権があるということです。(例えば、申立てとして保佐を選択したが、家庭裁判所の審査の過程で本人の判断能力の状況が【後見相当であるとの判断がなされ、当該家庭裁判所との調整が必要になるといったケースもあり得ます。)

このような事が実際起こったならば【家庭裁判所】との連絡調整は欠かせず申立人の意向のみでその申立の取り下げも出来ません。(申立ての取り下げも【家庭裁判所の許可が必要】と家事事件手続法の中で規定されています。この制度が一体誰の為のものなのかを考えれば、申立人の独善的な考えでだけで取下げが出来ないような仕組みになっているのは当たり前とも言えます。)


上記の注意ポイント2つだけを見てみても、申立人においては、【法定後見に対する深い制度理解】と制度の中で人生を組み上げ生活を営んでいく【本人への暖かな身上監護(保護)の姿勢】が不可欠である事がおわかりになるかと思います。


残念ながら【法定後見制度】を利用する事となるご本人と繋がりがあるはずの【家族】が【家庭裁判所】の後見人等選任の審査において【不適格】であると判断される事例が多く見られるのが最近の顕著な傾向だそうです。

本当にこの方は高い倫理観を持ち本人のための後見活動をする事ができるのであろうか・・・?】との【家庭裁判所】の疑念が具体化されている注視すべき事実として心に留めておくべきでしょう。


本人を守り下支えしていく気構えの元、制度利用の決断をし自身が後見人等となるべく申立てをする【ご家族】としては、市民公開講座や各任意団体の研修等で【成年後見人制度の理解に努め、自身の意識と知識を高めていくのも一つの道なのかもしれませんね。(【家族であるという事だけでは【後見人等就任の保証にはならない】との認識が大事なのでしょう)

次回は【法定後見制度】の中の3つの分類、【補助】・【保佐】・【後見】それぞれの制度特徴について見ていきたいと思います。

関連URL:【法定後見人制度について②】 :【成年後見人制度について】

【成年後見業務の適正について】

 

 

 

 

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