【成年後見人の財産管理事務】

皆さん、こんにちは。神奈川県横浜市港南区にて活動中の行政書士、近田知成です。

記事投稿第84回目記事投稿となる今回のテーマは、【成年後見人が行う財産管理について】です。


当HPでも度々ご紹介して参りました【成年後見人の事務執行】ですが、その代表的な職務の1つに【財産管理】があります。

関連URL:【成年後見人制度について】

被後見人等の方が利用する【介護サービス】や病院等の費用各種の税金支払いについても、この管理された財産から支出されます。

言わば、ご本人の【生活の命綱そのものの管理を担うのであって、その責任は重大です。

適切な財産管理を託された側としては、様々な方法で日々の事務執行にあたるわけですが、実際のところ【後見人の財産管理】はどのようにして行われるのでしょうか?

今回は、その管理の代表的な型についてご紹介していきたいと思います。


先ず、事務執行の大前提として重要なポイントは、【後見人は後見人としての権限を与えられて初めてその事務を行う】という点にあります。

ご本人財産の管理調査から実際の管理行為に至るまで、この原則は適用されます。

一見すると当たり前の事のように感じられる事項ですが、この部分を甘く見るのは危険です。

任意後見ならば【任意後見監督人の選任】を求めその選任がなされてから法定後見ならば、同じくご本人の【判断能力が低下】し、家庭裁判所に【後見(保佐・補助)の申立て】が行われ、その選任の審判が確定してから後見人等は事務を執行する権限を与えられる事になります。

当該権限の確定が明確になされる前ご本人の財産管理を行う事は、【無権限の状態】での執行を意味し、責任を問われる事態となります。


成年後見人となる方は、多くの場合【ご本人保護の必要性】を強く感じており一刻も早くその活動に乗り出したいと思うのではないでしょうか。

また、ご本人からの強い要請があったり、周りの方々からの催促等が加われば焦りもするかもしれません。

しかしながら、後見活動は一定期間に渡る腰を据えたものが基本であり、ご本人に対する【安定的な事務執行】のみならず、第三者に対しても【後見活動の適法性】をいつでも主張出来る環境作り必要です。

その適法な権限のもとでの事務執行が、延いては後見人自身の身を守る事にも繋がるとお考え下さい。


次に【口座の管理】ですが、成年後見人名義の所謂【預かり口口座による管理行ってはならないという点が重要です。

度々巷で語られる【成年後見人のご本人資産の着服・横領事件】は、上記のような預かり口口座利用してのものが中心と考えられます。

後見人の財産管理は、【金融機関への後見人登録の届出】を行う事で開始されますが、その口座名義もあくまで【ご本人名義】であることが基本です。

間違っても、成年後見人名義もしくは後見人自身のプライベートな口座)への資産の鞍替え等行ってはなりません

また、(各金融機関ごとに多少の違いはあるものの)引き出しや入金の為カード登録を行う場合にもカード名には『○○○○成年後見人○○○○』(前半○○○○→被後見人等氏名後半○○○○後見人氏名)と記し、権限の所在を明確化窓口での手続きで無用なトラブルや遅滞が起きないよう工夫がなされています。


そしてやはり、財産管理の基本は【金銭(現金)出納帳】と【事務経過報告書とのリンクにあると言えるでしょう。


預金(貯金)出納帳 (1)後見サンプル

後見事務経過報告例-2

上記2つの書面は【現金出納帳】と【事務経過報告書雛形の1例となります。

後見人がその日に行った【事務内容】と【その際に使われた(口座入金を含む)金銭の流れ】がこの2つの書面により証明・保管されている状態が適切と言えます。

加え、支払いにより受け取った領収書】は一定期間後見人側において保管することも必須です。

後見人は家庭裁判所後見監督人からの求めに応じ、(専門職団体に入っている場合等は当該専門職団体の業務報告要請も含め)これらのような事務関連書類をいつでも提出出来るように準備する事が求められます。

関連URL:【コスモス成年後見サポートセンター入会】


その他にも、手許現金を多額にしておかずに(例外的にご本人の身上監護上必要となる場合を除きご本人通帳で管理しておく事とか、後見事務活動の際にかかった交通費等実費分】も実費経過管理表で一覧にしておく事、ご本人の財産調査の時には単独では無く、同行者(地域の民生委員の方等)同伴で自宅へ向かう・・・・等、様々な対応が必要になりますし、後見人の活動は【細心の注意と適性の担保】を前提としたものばかりとなります。

後見人が【財産管理】を【常に適正に行う】その姿勢が、ひいてはご本人身上監護への安定に必ず繋がっていきます

その安定が後見人の【自己主張】だけでは無く、【客観的書面により証明されている事が後見人の【財産管理】のと言えるのでしょう。

関連URL:【成年後見業務の適正について】 関連URL:【任意後見受任者の資質】

 

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