【成年後見制度にまつわる疑問②】

前回に引き続き【成年後見制度にまつわる疑問】について記述していきたいと思います。

関連URL:【成年後見制度にまつわる疑問①】【成年後見制度にまつわる疑問③】

【成年後見制度にまつわる疑問④】 :【成年後見制度にまつわる疑問⑤】

【成年後見制度にまつわる疑問⑥】 :【成年後見制度にまつわる疑問⑦】

【成年後見制度にまつわる疑問⑧】


③【法定後見制度任意後見契約の違いとは?】

成年後見制度を利用されるご本人の判断能力の状態により、利用するべき制度の選択肢が変わります。

今現在判断能力の低下は見られないが、将来現れるかもしれない【精神上の障がいによる】判断能力の低下に備えて信頼に足る方と契約を結んでおく型が【任意後見契約】となります。(*例外的な型も存在はします。)

一方、今現在において【精神上の障がいによる】判断能力の低下がみられる場合、契約締結能力に疑義がある可能性もある為、家庭裁判所の審判による後見人等の選任の型をとる【法定後見制度】を利用する事になろうかと思います。


家庭裁判所の当該制度への監督関与の程度にも違いがあります。

任意後見契約】においては契約効力の発効に【任意後見監督人の選任】が必要となります。これは任意後見監督人を通し【間接的に】家庭裁判所が当該契約について関与する事を表します。

法定後見制度】では、そもそも後見人等ご本人の支援者たる人物選任自体が家庭裁判所の審判によるものなので、【任意後見契約】に比べその関与はより【直接的】とも言えます。


また、制度利用の【発端とご本人の意思反映の強度】についても違いがあり、【任意後見契約】は受任者となる方の選定からその契約内容まで支援を受けるご本人が【自ら】その必要性を感じ、隅々まで検討・決定をする事から【ご本人の意思が強く反映される型】と言えるのに対して、【法定後見制度】の場合【既にご本人の判断能力の低下がみられる】為、周りのご家族や親族等【支援者の側からのアプローチで申立てを行うことが常と言え、その点ご本人の明確な意思よりも【支援者側のその方を守る為の必要性】から行動が始まるケースが多いのが実情です。


加え、両制度の【手続き進行】も異なり、【任意後見契約】は公証役場にご本人と後見受任者双方が来訪し、その契約内容を【公正証書として】公証人に作成依頼公証人が作成後登記所に対する嘱託で後見登記がなされる事となります。

対して、【法定後見制度】の場合の働きかけ先は公証役場ではなく【制度利用をするご本人住所地を管轄する家庭裁判所】であり、先ずは当該家庭裁判所へ【制度利用に関する相談と申立て書類の入手の連絡を入れる事から始まります。ご本人の権利擁護をいち早く行うためには申立てを行うより先に【診断書】を確保しておく事が望ましく、手続きに費やせる時間的制約が強い点も留意すべきところでしょう。


上記4つの点だけみてもその違いは明確であり、ご本人の【財産管理と身上監護】が両制度共通の目的とはいえ、それぞれの制度の違いをハッキリと区別して把握しておく事はとても大切と言えます。


④【成年後見制度に関する相談先は?】

法定後見制度】の利用をお考えの場合は【利用対象者であるご本人の住所地を管轄する家庭裁判所】が相談先である事は③の中でも申し上げました。(当該家庭裁判所は同時に申立て先でもあります。)

この他にも各都道府県が設けている【成年後見推進センター】やお住まいの各市町村【社会福祉協議会】窓口、最寄りの【地域包括支援センター】等も相談先として考えられます。

関連URL:【神奈川県社会福祉協議会HPhttp://www.knsyk.jp/

関連URL:【神奈川県HP地域包括支援センターポケットガイド』】http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f4134/


また、これら地方自治体や関連団体の窓口以外にも【各士業団体】が個別に【成年後見サポート】の為の組織を設立し、それぞれの士業の特性に合わせた支援を行っていますので、制度利用されるご本人の実情に照らし合わせて相談先を選択される事も良いかと思います。


上記【法定後見制度】は手続きの最初から申立ての形式で事を進めていくので、相談内容についても管轄裁判所の法定後見申立て事項の定型を中心にお話しされることになるでしょう。


一方、【任意後見契約】はというと、契約内容の発効は【任意後見監督人の選任】を経なければならず、その手続きに関しては【法定後見制度】と同様に【管轄家庭裁判所】への申立てが必要なのですが、大切なのはその申立て以前の任意後見契約内容の検討】にあり、この部分こそが当該契約のとなります。

任意後見契約】と一言で言っても、利用される方それぞれが契約内容として【どのような代理権自身に代わり任意後見人に行ってもらう事項)を文面に盛り込むか】に違いがあり、この点を専門的見地からアドバイスしてくれる方へ相談のアプローチをかける必要があります。


また、【任意後見契約の内容検討にあたり、個人のプライバシーに関する事項をアドバイザーの方にさらす事になりますので、専門的見地はもとより個人として信頼に足り、かつ、業務上守秘義務】が課されている方をお選びになる事をお勧めします。

私が現在研修を受けている【コスモス成年後見サポートセンター神奈川支部 通称:かなさぽ】の活動においては、行政書士の職域として、【任意後見契約の起案】に携わる事も可能です。【任意後見契約】についてのご相談先の一つとしてお考えいただければ幸いです。

関連URL:【コスモス成年後見サポートセンター神奈川支部http://www.kanasapo.com/

関連URL:【【かなさぽ研修記録①】

関連URL:【【かなさぽ研修記録②】


次回も同じく【成年後見制度にまつわる疑問】について記述していきたいと思っています。

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