【成年後見制度にまつわる疑問③】

第47回目記事投稿となる今回のテーマも【成年後見制度にまつわる疑問③】でお送りしていきたいと思います。今回は成年後見制度にまつわる【費用】を中心に見ていきます。

(*下記に記していく【申し立て手続き】については一般的なご説明となります。行政書士として当該申し立て手続きを受任することは業際の関係上できませんので、ご注意いただければと思います。)


⑤【成年後見制度利用にかかる費用とは?『法定後見編』】

成年後見制度を利用するにあたりどの位の費用がかかる事になるのでしょうか?

先ず【法定後見制度】についてですが、当該制度の3つの類型(後見・保佐・補助)どれも家事審判事項における申立てとなりますので、それぞれ【申立て費用】がかかります。

手数料は【800円】で、収入印紙により管轄の家庭裁判所に納める形式となります。

加え、【保佐】及び【補助】の審判申立てにおいては、その申し立てのみで(保佐人や補助人が)出来得る事に限りがある、あるいは実質的に何もなし得ない事から、大本となる【保佐・補助開始の審判を求める申し立て】と【同時に】、追加で【同意権付与の申し立て(+800円)】や【代理権付与の申し立て(+800円)】を行う事が通例であり、その点家事審判における申し立て費用が別個に必要となるのです。

保佐開始の申し立て(800円)+代理権付与申し立て(800円)=1、600、円。

(【法定後見制度】の中でも【後見】については、(【保佐】や【補助】と違い)その申し立て単体が認められ後見人となれば、被後見人の法律行為に関する広範な代理権及び取消権が付与されるので、追加での代理権等申し立ての必要は考えなくて良い事になります。)


また、【法定後見制度】では、上記【申し立て費用】に加え、審判書等の送達費用として【予納郵券】を家庭裁判所に納める事となります。金額については申立て先の家庭裁判所により異なる可能性を考慮し事前に問い合わせをしておく事をお勧めします。(申立て類型によっても異なり一般的には2、800円~5、000円位と言われています。)

加え、申し立て後審判が確定すると、家庭裁判所の職権に基づいて【成年後見登記】が嘱託され【後見登記等ファイル】に記入される事となり、その為の費用として収入印紙で【登記手数料2、600円分を予納する必要があります。


そして最後に必要となるのが後見・保佐開始の審判にあたり原則必要となる【鑑定費用】です。

参照URL:裁判所㏋【成年後見制度利用における鑑定書・診断書作成の手引き】http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_09_02/index.html

この鑑定費用については、担当する医師の指定する金額申立人において納める事が必要です。予納のタイミングは申立て時あるいは、鑑定を行う担当医が決定した後家庭裁判所より費用納付の指示が出る等が考えられますので、その点申し立て先の家庭裁判所へ事前問い合わせを行うよう心掛けましょう。

(ちなみに、参考例としての【鑑定費用の相場】は5万~10万円程度と言われています。)


⑥【成年後見制度利用にかかる費用とは?『任意後見編』】

成年後見制度の中でも【任意後見契約】の場合にはその契約効力が発生する前に経る2つの段階別に費用がかかる事になりますのでご注意下さい。

段階1➡【公正証書作成関連費用

任意後見契約】は公証人が作成する【公正証書】により書面化しなければならないので、【公証人費用】がかかる事になります。事前に書面化を依頼する【公証役場】へ連絡を取り当該費用の把握をする必要があります。

参考例としては、公正証書作成基本手数料(原本)11、000円登記手数料1、400円法務局納付用収入印紙代2,600円、その他当事者に交付する為の正本証書の代金や郵便手数料、公正証書に超過枚数が生じればその超過枚数代等も費用としてかかります。(任意後見契約には通例として3つの型が存在しその内どの型を採用し公正証書として残すのかの選択によっても基本手数料は変わりますのでこの点の確認も必要となるでしょう。)


また、公証役場へおもむく事ができない場合は【公証人に出張を依頼】し作成する手順となり、その場合には別途出張費】がかかる事もお見知りおき下さい。


そして公正証書作成の為の【必要書類の収集】にも実費がかかります。(委任者側の戸籍謄本・住民票・印鑑登録証明書や受任者側の住民票・印鑑登録証明書等が必要となります。)


段階2➡【任意後見監督人選任の申し立て費用

段階1で公正証書として任意後見契約を書面化しておき、ご本人の判断能力の低下が後にみられた場合には速やかに家庭裁判所へ【任意後見監督人選任の申し立て】を行う流れとなりますので、その為の【申し立て費用】がかかる事になります。

実際には【申立手数料800円】+審判書等送達費用としての予納郵券3、430円+登記手数料2、600円が申し立ての段階で必要とお考えください。


上記⑤及び⑥内の費用の他にも実際に後見活動が開始されれば【後見人報酬】が別途かかる事になります。金銭的に余裕がない方等については、行政窓口にて相談すると共に、助成金制度の活用も検討し手続きを進める必要があるでしょう。

次回も【成年後見制度にまつわる疑問】を引き続き記述していきたいと思っています。

関連URL:【成年後見制度にまつわる疑問①】【成年後見制度にまつわる疑問②】

【成年後見制度にまつわる疑問④】 :【成年後見制度にまつわる疑問⑤】

【成年後見制度にまつわる疑問⑥】 :【成年後見制度にまつわる疑問⑦】

【成年後見制度にまつわる疑問⑧】

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