【成年後見制度にまつわる疑問⑧】

皆さん、こんにちは。神奈川県横浜市で活動中の行政書士、近田知成です。


過去記事の中でも記しましたように、成年後見に対する一般社会の方々の認識は『まだまだ解りずらい』という段階に留まっているように感じます。

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今回は以前に掲載した【成年後見制度にまつわる疑問】の続きとして、知っておいて頂きたい要点をご紹介したいと思います。


⑭【成年後見人の辞任ってどうなっているの?

成年後見制度には大きく分けて、【任意後見】と【法定後見】の2種類があり、そのどちらも【ご本人の財産管理と身上監護】活動を行うものとなります。

任意後見】【法定後見】に区別なく、活動が開始されるべき段階では既に【ご本人の判断能力の低下】が見られており、この時点での活動必要性は正に【待ったなしの状態】と言えます。

よって、制度上云々を申し上げる以前に、ご本人に対する【配慮や信義則上】、後見人の側からこの段階で辞任を申し出るのは殆どあり得ないのではないかと思われます。(後見人が大病等を患いサポートが出来ない・・・等の例外は考えられますが・・。)

先ずはこの前提をご理解頂いた上で、次に話を進めて行きます。


辞任タイミングとしては主に・・・①【任意後見契約の効力発生】②【任意後見契約の効力発生後】③【法定後見制度開始後】・・・が考えられます。


①【任意後見契約の効力発生

この時点では【ご本人又は任意後見受任者】は【いつでも契約を解除することができます

任意後見が未だ開始されていないので後見活動の必要性が無い点、加え、私人間の自由な意思に基づく契約である為、契約の解除理由にこと細かな制限があるわけではありません

ただ、実質上委任者・受任者双方の信頼を基礎】として【公証役場】にて契約を形にした訳ですから、相手方に対する配慮に欠く一方的な解除お勧めできません

また、【公証人の認証を受けた書面】による解除が要件となる点にも留意が必要です。


②【任意後見契約効力発生後

この段階での解除要件には【正当な理由】+【家庭裁判所の許可】が必要です。

正当な理由】とは、例えば【長期的な入院加療が必要である大病を患ってしまった】とか、【止むを得ない理由から遠方に引っ越しする事となり、実質的に後見活動が行えない】・・・等の理由が挙げられます。

理由の正当性家庭裁判所にて審査されるわけですから、裏を返せば任意後見人側の安易な考え基づく理由(例えば・・・被後見人との性格の不一致等)は認められないという事も意味しています。

また、任意後見が既に始まっている場合、任意後見人は自身の行ってきた【後見活動の引き継ぎ】をしなければなりません。

当該引き継ぎには、家庭裁判所により選任された【任意後見監督人】への連絡調整は勿論のこと、ご本人のご家族がおられる場合には、経過連絡も必要となるでしょう。

先程も申し上げましたが、後見活動のが開始されている【】の任意後見人の辞任には、【ご本人の権利保護への空白期間】というリスクが伴います。

この要素を踏まえた円滑な事務の引き継ぎが不可欠であるという点、お見知り置き下さい。


③【法定後見開始後

②と同様に、辞任の要件には【家庭裁判所の許可】+【正当な理由】が必要です。

正当な理由】についても、後見人側の身勝手な理由は認められず病気等のやむを得ない事情がある場合に限られます。

また、後見業務の引き継ぎに関しては家庭裁判所へ【辞任許可の申立て】と併せ、【後任の後見人選任の申し立て】をする必要があります。(後任が選任され次第、事務の引き継ぎを行います。)

参照URL:【家裁HP 成年後見人辞任の許可】http://www.courts.go.jp/wakayama/l2/l3/l4/Vcms4_00000136.html

申立てから選任に至るまでの期間ご本人の身上監護上問題出ないよう後見人としては速やかな手続きの遂行と関係機関との連絡調整が求められます。


簡単な説明とはなりましたが、上記のような各要件が【成年後見人の辞任】には必要となります。

ご本人の【生活を下支え】する事が成年後見制度の根幹ですので、【ご本人保護の観点を逸脱した辞任理由は認められない】とご認識頂ければと思います。

関連URL:【成年後見制度にまつわる疑問①】 :【成年後見制度にまつわる疑問②】

【成年後見制度にまつわる疑問③】 :【成年後見制度にまつわる疑問④】

【成年後見制度にまつわる疑問⑤】 :【成年後見制度にまつわる疑問⑥】

【成年後見制度にまつわる疑問⑦】

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