【成年後見人とご家族の関係】

皆さん、こんにちは。神奈川県横浜市港南区で活動中の行政書士、近田知成です。

第70回目記事投稿となる今回のテーマは【成年後見人とご家族の関係】です。


法定後見・任意後見問わず、後見人等の活動内容は【ご本人の財産管理と身上監護】となる事は、以前の記事の中でもご紹介して参りました。

関連URL:【成年後見人制度について】

どちらの型を採用しようとも、ご本人に対する【権利擁護的要素】の強い事項ばかりですので、後見人としては、自身の行為一つ一つが【ご本人の為に成されているか?】を常に確認しながら支援を行う必要があります。

その支援活動を継続していく中で上手くバランスを取りながら(適切な距離感を保ちながら・・とも表現できるでしょうか)関係性を築いていくべき相手方が【ご本人のご家族(ご親族)】となります。

被後見人等となるご本人の【ご家族(ご親族)】には、様々な点において【協力】をしてもらわなければならない場面が存在します。


この場面は、後見人として活動する前の段階から及ぶものもあり、例えば・・・

①【法定後見の申立ての際には推定相続人の同意が必要】(※原則的に

法定後見を申立てる際、被後見人等に該当するであろうご本人のご家族(具体的には、配偶者子、四親等以内の親族等)が申立人となる事が考えられますが、この申立ての際には【申立人を含む他の推定相続人】の親族関係を調査し、申立ての内容や後見人候補者等について【親族の方々の同意】をもらう必要があります。

(※ この話は【後見活動を行う以前の事項】とはなりますが、関連知識としてとても重要な要素となりますので、当該記事においてご紹介する事としました。)

成年後見制度について【いまいち良く分かっていない】、【その必要性を実感できていない】、更には、【親の資産を独り占めするために申立てをしようとしているのでは・・・?】等、穿った見方をされるご親族がおられる場合には、上記の同意を得るまで予想以上の期間が掛かってしまい、ご本人の権利擁護に遅滞が起きてしまう事も考えられます。

客観性のある資料】を提示し、お話を進めていく等の工夫が求められます。


②【施設や病院で治療を行う際に同意をもらう

これは専門職後見人市民後見人が度々直面する事柄です。

勘違いをされやすいのですが、原則として、成年後見人には【医師がご本人に対し行う医療行為への同意権】はありません

※関連URL:【成年後見制度にまつわる疑問⑥】(当該記事内⑪【成年後見人が出来ない事】をご参照下さい。)

しかしながら、ご本人が施設に入居されている場合には予防接種病院に入院されている場合には手術等・・・各種の医療行為が想定されるのが、成年後見制度を活用しているご本人の現状と言えます。

このようなケースにおいて後見人等は自身には医療に関する同意権が無い事を担当医師に伝えると共に、ご家族(ご親族)がいれば速やかにお話を通し同意を頂き(本来的にはご家族にもご本人の受ける医療行為への同意権は無いのですが、形式上求められることがですので・・・。)、おられなければ担当医師の判断に委ねる等、適切な身上監護が行われるよう努めなければなりません。


③【ご本人が相続人となる場合の遺産分割への参加

被後見人等が相続人となる遺産承継の現場にも、時として後見人等は【財産管理】事項の1つとして顔を出す必要があります。

被後見人等は判断能力が低下している為、自身の財産上の権利を適切に行使する事が困難だからです。

このような場合に、後見人等はご本人の利益が損なわれないよう【法定相続分の確保】に尽力せねばならず、その過程においては他の相続人となるご家族(ご親族)とお話(協議)を円滑に進める事が求められます。


上記のようなケース以外にも、被後見人等が施設や病院にて生活を送っている場合、【不在の住居の管理】をする為に、同行者としてご家族(ご親族)の方に立会いを求めたり、後見活動の終了としてご本人が亡くなられた際死亡届の提出や残存資産の引き継ぎ手続き・・・etc.幾つかの場面にて適宜その接触が想定されます。

後見人としては、基本的に【身上監護上必要な場合を除いて】のご家族(ご親族)との過度な接触は行うべきではありません

後見活動はあくまで【ご本人の権利保護】が大前提であり、時としてご家族(ご親族)の意見そのベクトルと異なる場合が考えられるからです。

この点についての確固たる気構えは必須であり、加え、後見事務経過一覧の作成、金銭出納帳による財産管理の証明等により、その適正を担保するよう心掛ける事が大切であると思われます。

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