皆さん、こんにちは。神奈川県 横浜市 南・港南支部所属 行政書士 近田知成です。
前回の記事において【日常生活自立支援事業】を取り扱いましたが、当該事業において実施機関となる市区町村社会福祉協議会のサービス提供を、都道府県社会福祉協議会が監督するシステムが存在する点について【業務の適正を担保】するという意味でとても重要であるとのご説明を致しました。
この【業務の適正を担保】するというポイントは、【日常生活自立支援事業】においてのみ該当するものではなく、【成年後見】分野に携わる全ての支援者が常に意識していかなければならない【制度の根幹を成すもの】であると言えます。
しかしながら、ご本人のサポート役たる後見人等において【ご本人資産の使い込みや自己財産との混同】であったり、【ご本人にとって必要な介護・療養サービス提供を懈怠したり見守り活動を省略する】等の事案は実際に発生しており、【後見人等のみにおいて自らを律する】だけでは利用者側の不安が拭えない場合も考えられます。
また他方、法定後見制度を管轄する各家庭裁判所の判断においても上記の問題を強く意識している事が伺えます。
例えば、被後見人となるご本人の財産価格が一定の価格を上回った場合、たとえ申立てが家族により行われ、後見人として当該家族が自らを候補者指名してもらうべく申請をしたとしても、ご本人財産の使い込みへの懸念から弁護士等の専門職後見人を選任する傾向が見られる事は、ここ数年来の潮流と言えます。
このような選任判断が行われる背景には、【如何にして不正な用途によるご本人財産の支出を無くすか】に力点を置いた判断を下している家庭裁判所の苦慮が存在していると思われ、この事実は裏返せば、【第三者機関による適切な監査体制の下で後見業務を遂行する事はひいてはご本人の適正な財産管理・身上保護に資する】事を意味しているとも考えられます。
後見分野をめぐる【業務適正へのアプローチ】には、各支援団体により特徴がありますが、後見事務に関する研修を終えた行政書士により構成される一般社団法人【コスモス成年後見サポートセンター】もまた当該分野への志を高く持ち、会員への【業務監査制度】が厳格化されている専門職後見人組織となります。
【コスモス成年後見サポートセンター】では受任案件がある会員に対し年に4回の【業務管理報告】を義務付けており、この業務報告回数は他の後見業務を担う士業団体に比べても遜色のないものとなっています。
また、当該組織の神奈川県支部(通称:かなさぽ)においては、受任案件のない会員であっても受任状況報告義務を課し会員の状況把握を遂行している等、【業務適正への努力】を日々継続している状況にあります。
後見分野においては、法定後見であるならば、年1回の家庭裁判所への業務報告のみが実質上課せられているのみであり、任意後見に至っては、任意後見監督人の求めに応じる型での業務や金銭管理の報告に留まり、家庭裁判所が直接的に関与する事さえ限られているのが現状です。
この様な状況の中で、専門職後見人団体としては会員が後見人等として活動する上で不正を起こさないように家庭裁判所との二重のチェック体制を整えてご本人保護の厳格化を推し進める必要があります。
専門職後見人団体が率先して自主的に【業務適正への姿勢を世に見せていく】事が、高齢化に伴う後見制度利用の必要性に比して社会的認知度が高まっていない現状を少しずつ好転させていくのではないか・・・と私は思います。
関連URL:【【かなさぽ研修記録① 】【【かなさぽ研修記録②】 】【【かなさぽ研修記録③】 】
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