皆さん、こんにちは。神奈川県 横浜市 南・港南支部所属 行政書士 近田知成です。
第28回記事投稿となる今回のテーマは【終活ノートに何を書くか?】です。
【遺産相続についての方向性を生前の意思として遺しておく】ための【遺言書】の作成は昨今、様々な場面で取り上げられその認知度も高く、有益性においても一般の方々に広く知られるようになって来ました。
【争族】と巷で呼ばれる【財産分けにともなう相続人間トラブル】についても最早別段珍しいものでは無く、その芽を自身の【生前の最終意思である遺言書】により摘み取っておこうと考える方も多いと思われます。
しかし、実際『遺言書を作っておこう。』と決断をしても【一体何から始めれば良いのか?】と迷ってしまうのではないでしょうか。専門家の方にサポートを依頼するにしても【ご自身の身の回りの状況や情報】があちこちに散らばっていては最終的に【遺言書】が完成するまでに予想以上の時間と手間がかかってしまうかもしれません。
【終活ノート】はこのような懸念点を解消するべく、【遺言書を作成する前の準備過程の一歩目】として【ご自身の様々な情報】を【集約化】する為に用意しておくものであり、その有用性は非常に高いと言えます。
では、実際にその【終活ノート】にはどのような事項を書き込んでいけば良いのでしょうか。この事についての法的な定形は存在しないのですが、ご自身の人生の歩みを振り返る【①自分史】部分と、ご自分亡き後ご遺族等に知っておいてもらいたい【②各種要望・客観的情報】部分に分け記載しておくと良いかと思います。
今回は①【自分史】についてその内容と記録ポイントをご紹介します。
①【自分史】
ご自身の出生に関する事項【生年月日・血液型・出生時のエピソード・出生地(病院)・本籍地など】(出生時本籍地については相続人がご本人の戸籍を遡って取得していく際の手助けともなります)。
ご自身の略歴に関する事項【幼稚園や小中高の名称・大学(それぞれの学校においてどのような事柄に打ち込んできたか、部活動やサークル活動、ご友人との活動や記憶に残る大切な思い出など。)また、各校入学年と卒業年も】
ご自身の職歴に関する事項【勤務先・配属部署・お世話になった上司、同僚や部下の名前と住所・仕事や付き合いの中でのエピソードなど】(また、退職後会社のOB会に所属されている方は当該OB会名も記入しておくと良いかと思います。年会費等を支払っている場合にご自身の死後、相続人が退会連絡を入れるケースも考えられますので。)
家族に関する事項【ご両親・兄弟・ご夫婦・子供たちとのエピソードや伝えておきたい事項】(慶事や弔事の記録もここに加えておくと良いでしょう。また、旅行等で撮影した大切な写真・映像記録や、子供たちの成長記録等は遺される方々にとってもかけがえのないものとなりますので保管場所を明記されておく事も大切です。)
*退職後の生活に関する事項【所属している団体名(スポーツクラブや地域の活動団体)・団体メンバー名・活動内容やエピソード】昨今、企業を退職された後アグレッシブに様々な活動【絵画スクールや囲碁・将棋会・歌唱クラブ等趣味系サークルや健康維持増進の為のスポーツ活動(水泳クラブ・スポーツクラブ・ゲートボールクラブ・ゴルフクラブ等)が代表的な例として挙げられるでしょうか。】をなさっておられる方を多々お見受けします。このような団体に所属されている方々は、上記の団体名やメンバーについても記しておいた方が良いでしょう。(ご自身亡き後ご遺族等が対応される方々については、昔親しかったご友人よりもむしろ最近懇意にされていた所属グループのメンバーの方が多かったりするものです。)
また、【地域の自治会・管理組合等でお世話になった方々】についても忘れずに記録しておきましょう。
上記の事項の他、お持ちの資格や免許、趣味についての事柄や、たどってきた人生の中で【家族や大切な人に必ず伝えておきたい感謝や願い、思い出等】気軽に書き加えていけば良いかと思います。
②【各種要望・客観的情報】の記述については読んで字のごとく【相続時における要望とその対象】部分となります。
しかし、この【自分史】部分については【情報の集約化】という点よりもむしろ、後にご家族や大切な人が読むことにより【ご本人の歩んできた人生】に思いをはせてもらい、相続時に【ご本人の人生観に基づいた判断】をご遺族等に行ってもらう為の補完資料として重要なものになる、と言えるのではないでしょうか。
【遺言書】とは違い、【自分史】部分を含め【終活ノート】に法的な効力はありません。
しかし、【ご本人の人生観を慮る】事はご遺族等にとっても大切な事であり、【亡き人の意向に沿った相続の形(その関連手続きを含め)】を遂行出来ればご遺族等の心の平穏にも繋がります。その助けとして【終活ノート】があるとするならば、その価値はとても高いと言えます。
たとえ【争族】の芽が考えられなくとも、ご自身亡き後の【ご遺族等の心情は大変に揺らぐもの】です。上記【自分史】を含む【終活ノート】の存在がご遺族等の支えとなり得るのなら作成することには大きな意味があるといえるでしょう。
次回は【終活ノート】記載事項②【各種要望・客観的情報】部分についてご紹介していきたいと思います。
関連URL:【終活ノート記載事項②】 :【遺言書作成前のステップ①】
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