皆さん、こんにちは。神奈川県 横浜市 南・港南支部 行政書士 近田知成です。
記事投稿第60回目となる今回のテーマは【日常生活自立支援事業について】です。
今回取り上げるテーマは、行政書士として直接的にその業務内容となるものではないものの、【成年後見】分野に付随(隣接)する知識としてお持ちいただければ有用となる【社会福祉協議会】が推進する1事業です。
私自身も【コスモス成年後見サポートセンター神奈川県支部:通称かなさぽ】の研修内で初めて触れたものであり、ご高齢の方特に【独居生活を送っておられ今後の自身の地域生活においてご不安をお持ちの方】に知っておいていただきたいものとして今回ご紹介させていただきたいと思います。
【日常生活自立支援事業】は、都道府県や政令指定都市の社会福祉協議会が主体となり、①社会福祉サービスの利用援助や②利用者の日常的な金銭の管理サポート、③通帳や証書等の預かりサービスを行うもので、様々な原因により(例:認知症の発症・精神障がい・知的障がい等)【判断能力が不十分な方】をその利用対象としているものです。
上記にも記しましたが、例えば・・・独居生活を送ってきたがこのところ自分一人では金銭の管理が困難になって来た、親戚や兄弟はいるものの疎遠であり近くに頼れる方が見つからない等の問題を抱えていたり、また、判断能力が低下しつつあるが地域の中で自立した生活を今後も送っていきたい・・でも何らかの形で支援は受けたい・・・このような要望をお持ちの方は本当に多くおられると思います。
これら【自身の自立した生活を基本としつつ生活の根幹となる上記①~③のサポート】をお住まいの地域の【社会福祉協議会が主体】となってサービス提供を行うのが当該事業となります。
事業主体が【社会福祉協議会】である事から社会的信頼性は高く、地域コミュニティへのネットワーク整備も個々人が行うサポートより深度は高いと思われます。
サービス提供を行う実施機関を都道県の社会福祉協議会が監督する等のシステムも整えられており、利用者としては安心してサービスを受けることが可能です。
また、利用料金の面に関しても決して法外というものでもなく、生活保護受給者や所得税の非課税者、前年度所得により階層区分がなされ利用者の生活事情を勘案したものになっています。
提供対象である①~③のサービスはどれも適正になされなければ利用者の不利益・権利侵害へと直結する重要なものばかりです。支援する側において【自ら監査体制を設けている】という点は、この事業の志の高さを表していると言えるでしょう。
次に、【日常生活自立支援事業】の利用を検討する際に注意すべき点を幾つかご紹介します。
当該事業を利用する為にはサービス提供機関である各市町村社会福祉協議会と【サービス利用契約】を締結する必要があります。
これは、利用者側に【契約締結の為の判断能力がある】事を要件としているものであり、精神上の障がいにより【判断能力を欠く状況にある方(法定後見で言えば後見類型該当者)】の利用は難しいと判断される恐れもありますので、このような場合には窓口となる社会福祉協議会担当者との話し合いが必須となるでしょう。
また、利用者ご本人に関する上記①~③のサポート以上の支援までをも包括的にカバーする事業ではない事から、ご本人の【身上保護】がより強く望まれる場面(例えば、認知症が進行し、悪徳業者から繰り返し消費者被害を受けているケースで、一刻も早く法定後見によるサポート体制を整える必要がある方等)にはそぐわない可能性もあります。
加えて、①のサービスに付随する懸案として、当該事業の範囲内においては、【特別養護老人ホーム】への入居契約を代理で行う事は出来ません。【居所の変更】にともなう手続きまでの代理をも内包するものではないという点も、利用検討の際には理解しておくべきでしょう。
【日常生活自立支援事業】のメリットと当該事業では【補う事の出来ない点】両方の要素を踏まえた上で、ご本人周辺の関係者(ケアマネジャー・医療関係者・事業担当窓口・・・等)の支えのもとチームとして当該事業利用を検討することが望ましいと思います。
関連URL:【日常生活自立支援事業パンフレット】【https://www.shakyo.or.jp/news/kako/materials/100517_01.html
コメントを残す