皆さん、こんにちは。神奈川県 横浜市 南・港南支部所属 行政書士 近田知成です。
記事投稿第26回目となる今回のテーマは【見守り契約について】です。
第23~24回でご紹介してきた【任意後見契約】は【精神上の障がいにより判断能力が低下した場合】に【任意後見人】が【財産管理と身上監護(保護)】を行う事を約した委任契約です。
この【任意後見契約】の効力発生時期は、ご本人の【判断能力低下後】【家庭裁判所】へ申立てをし【任意後見監督人を選任】してもらう事で始まりますが、ここで1つの疑問点が持ち上がります。
それは、この【ご本人】の【判断能力低下】を【誰が】【どのタイミングで】見極めるのかという事です。
【任意後見人】となる予定の方が同居をしている或いは近隣に住まわれている【ご親族】である場合には、日常的にご本人とお話をしたり、お身体の具合を聞いたりする等、各ご家族なりのペースでの見守りを行い見極めへと繋げるでしょうからこの問題はさほど意味をなさないでしょう。
しかし、独居生活をしている方が(近くで見守り等をしてくれる支援者もなく)【第三者後見人】と【任意後見契約】を締結した場合、果たして当該【第三者後見人】が積極的にご本人の生活状況やお身体の状況把握に努めてくれるのかどうか?・・・この点に関する担保は【任意後見契約】のみでは不十分と言えます。
そこで、クローズアップされるのが当該【見守り契約】となります。
【見守り契約】は、【任意後見契約】書面作成から、実際に当該契約の効力が発生する【任意後見監督人選任】までの期間【ご本人の生活や健康状態を継続的に把握する】為に結ばれるもので、これにより【任意後見人】となる者が【見守り活動をせず、任意後見監督人選任のタイミングを逸する】事態を予防する事が可能となります。
その契約内容には、【定期的な訪問面談による生活状況と健康の把握】、【ご本人では実行する事が難しい手続きの手配支援】そして【面談等を通じ精神上の障がいの現れを知覚した場合の任意後見監督人選任申立て】等が盛り込まれる事となり、【任意後見契約】書面と同様に【公正証書】で作成するのでその法的効力も確かなものとなります。
作成のタイミングはやはり、【任意後見契約】書面作成時がベストと言えるでしょう。この時ならば2種の書面を同一の【公証人】が手掛ける形に持っていけますし、作成における時間的手間も最小限でとどめる事が出来るのではないでしょうか。
また、当該【見守り契約】(【任意後見契約】でも同じことが言えるのですが)を締結するにあたり一番重要なのは【受任者を誰に選ぶのか?】という点です。受任者おいては【高い倫理観】と【ご本人の身上監護(保護)への強い意識】を持つことは言うまでもなく、各種手続きに対する【事務処理能力】も問われる等、大変な重責を担う事になります。
特に【見守り契約】をも締結する場合には先にも申し上げた通り、【第三者後見人】を【見守り人】として選択する可能性が考えられますので、当該候補者と綿密な話し合いを重ね【その方のパーソナリティ】を知り、また【ご自身の価値観や想い等を汲み取ってくれる方】なのかをしっかり確認しなければなりません。
専門性を重視し事務手続きに長けた方を選択したとしても、ご本人が歩んできた人生に基づき形成された価値観や想いに寄り添い得なければ、支援の過程で歯車が食い違い必要な支援が滞る結果を招きかねません。
最後に判断すべきは【子供であるから】または【専門職であるから】といった要素を更に超えた【一個人として信頼に足る人物であるかどうか】という事になろうかと思います。この点十分に留意していただき当該制度利用をご検討してみて下さい。
関連URL:【財産管理委任契約について】 :【任意後見受任者の資質】
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