【特別な手続きを経る相続ケース②】

前回に引き続き、今回のテーマも【特別な手続きを経る相続ケース】です。


③【行方不明者

相続手続きを開始する事になったが、相続人の中に【長い間音信不通で連絡が取れない者】や【生死がわからない行方不明者】がいる場合、どのようなアプローチをしていけばよいのでしょうか?

先ず、知っておいて頂きたいのは、これらの方々の参加無しに遺産分割協議を進め残りの相続人だけで合意がなされても、その遺産分割協議は法律上認められる事は無く無効】なものとなってしまうという点です。


つまり、たとえ相続人の中に【所在の判明しない者】や【生死がわからない行方不明者】がいても、【その方々の存在を無視して遺産分割協議を行う事は出来ず】、八方手を尽くしてでもその所在を探し出すかまたは(遺産分割協議を急いでいる等の場合には)、【家庭裁判所】に【不在者財産管理人の選任不在者財産管理人の権限外行為の許可】を申し立てるか、あるいは同じく【家庭裁判所】に【失踪宣告の申し立て】をして手続きを進めていかなければならなくなります。


③ー1➪ 行方不明者の住所特定のため、【戸籍の附票(本籍地の市町村で)】を取り寄せ現住所確認、特定できれば手紙等でコンタクトを取る。ただし、戸籍を追っていくにしても引っ越した際などに当該相続人が市役所に【転入届を出していない】等のケースではこの方法での進展は難しいかもしれません。

③-2➪【不在者財産管理人の選任不在者財産管理人の権限外行為の許可】申し立て

③-1の方法で行方不明者が見つからない場合や、様々な理由で遺産分割協議を急いでいる場合などにはこの手続きを進めていく事になります。

参照URL:【裁判所HP:不在者財産管理人選任の申し立て】http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_05/index.html

不在者財産管理人の選任】は、不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益保護のために申し立てられるものですが、この申し立て単体では(その権限として)財産を【管理】する事だけに留まってしまいます。

そこで、加え【不在者財産管理人の権限外行為の許可】をも申し立てる事で、当該【不在者財産管理人】に遺産分割協議に参加してもらい、相続手続きを行うことが可能となるのです。

参照URL【不在者財産管理人の権限外行為許可の申し立て書】http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_49/index.htm

この申し立ての注意点として、添付する事になる【遺産分割協議案】において不在者相続分の配分については【法定相続分が確保されている】事が大切となります。また、申し立てから認められるまで【3か月程度】はかかるという点も考慮し手続きを行うことが重要です。

この両申し立てについては、【不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所】にする事となり、費用としては収入印紙800円+郵便切手代+各種戸籍等添付書類取得代が実費となります。


③-3【失踪宣告の申し立て

不在者財産管理人選任】については、行方不明者の【生存】を前提としているのに対し、【失踪宣告】については行方不明者を【死亡したものとみなす】法律上の効果が表れる事になります。

失踪宣告の申し立て】はそのその方の行方が分からなくなってから【どれだけの期間が経過しているのか】を一つの判断基準に申し立てる事になろうかと思います。その期間が【7年以上】であるならば対象となりますし【7年未満】となれば【不在者財産管理人選任申立て】の方を選択するのが基本線でしょう。

申し立て手続きは【不在者の従来の住所地を管轄する家庭裁判所】にする事になります。費用としては【不在者財産管理人選任】申立ての時と同じ費用じの他、【官報への広告料】(4,298円)が別途かかる事をお見知り置き下さい。

手続きに必要となる期間としては、申立てをしてから【1年】程度かかる事もあり、相続の各申告期限を考えると【不在者財産管理人選任】との選択の取り方にも留意が必要です。

また、【失踪宣告】は、当該人物において【死亡している】という法律上の取り扱いをしますので、他の相続人が心情的にナーバスとなり申し立てに拒否反応を示す事があるかもしれませんし、【管轄の家庭裁判所】との連絡追加書類提出の有無、宣告が下りた後に実際生存が証明された場合の【失踪宣告の取り消し】手続き等・・・煩雑な部分も多く存在しますので、実務上は【弁護士】又は【司法書士】先生にご依頼された方が無難かと思います。

関連URL)【失踪宣告の申立て】http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_06/index.html


職域上、【家庭裁判所】への申し立て行政書士である当職が行う事は出来ません。しかし、ご相談をいただいた場合には知り合いの【弁護士】又は【司法書士】先生へと案件お繋ぎする事が出来ますので、【各士業への窓口的役割】としてお問い合わせいただければと思います。

関連URL:【特別な手続きを経る相続ケース①】 :【特別な手続きを経る相続ケース③】

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