【相続と戸籍】

皆さん、こんにちは。神奈川県 南・港南支部所属 行政書士 近田知成です。

記事投稿第7回目となる今回のテーマは、【相続手続きにおける戸籍の持つ意味について】です。


【戸籍】制度とは、日本国民一人ひとりの「国籍」と「親族的身分関係」(夫婦・親子・兄弟姉妹等)を【戸籍簿】(国籍事項・出生・婚姻・離婚その他重要事項を記載する、日本国民を登録、証明する公文書)に登録して、これを公に証明するものです。

・・・と、ご説明しても、何だか良くわからない事が多いこの【戸籍】ですが、事「相続手続き」の場面においては大変重要視される書面でして、必ず役所で取得する事になりになります。つきまして、①「何故、【戸籍】を各所に提出するのか?」また、②「戸籍の【種類】」そして、③「戸籍【謄本】と戸籍【抄本】」と、3つの意味合いをご理解いただければ当手続きもスムーズに進めていく事が可能であろうかと思います。


先ず、①「何故、【戸籍】を各手続き窓口へ提出しなければならないのか?」ですが、例えば、(少々オーバーですが・・・)亡くなられた被相続人と同居しておられる親族が「相続人は自分たちのみであろう。」と安易に考えていたところ、実際には「他にも相続人が存在することが分かった。」といったケースを想像してみて下さい。(事実あり得る話として、亡くなられた旦那さんが正妻以外の女性の子を認知していたとか、先妻との間に子供がいたとか・・が戸籍を紐解く事で判明する等の場合も考えられます。)


相続に関する手続きを管轄している役所や、業務としている銀行等は、後に起こり得るトラブルの芽を確実に摘み取らなければなりません。その為に絶対的に確認する事項として【戸籍】で【相続人の範囲を確定させる】事が必須となっています。

この【相続人の範囲を確定させる】ことこそが、【戸籍】を提出するべき理由となります。「公文書」である【戸籍】にてその範囲を見定め、銀行であれば被相続人の預貯金を相続人に移行するですとか、管轄法務局でしたら相続を原因とした不動産の「所有権移転登記」(この業務は行政書士の職域外ですが・・・)を行う上での【真実性の担保】とするのです。


次に、②「戸籍の【種類】」ですが、相続手続き現場にて主に扱うものとして、2種類があります。一つ目は「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本除籍謄本】・【改製原戸籍謄本】」、そして2つ目が「相続人全員の【現在戸籍謄本】」です。


一つ目については、【死亡した方の相続人を確定するため】現在から過去に遡って(通常)数通の戸籍を確認していく事になります。その過程で目にする事になる可能性のある戸籍が・・・・

除籍謄本】(戸籍に記されている者全員が転籍・婚姻・養子縁組・死亡等の理由で誰もいなくなった事を証明するものですが、誰もいなくなったからといってすぐ破棄されるのでは無く、一定の保存期間「除籍簿」に綴られ保存となり、相続のような場面においては【身分関係の経歴書】とでも言うべき大切な公文書となる)と、

改製原戸籍】(戸籍がその様式を改めた場合の【従前様式の戸籍】のこと)です。

この2種についてはその読み解き方に少々癖もあり、相続発生後は素早く各所に取り寄せの請求をかけていく必要があります。詳しく読み込んでいく事で「相続人の確定」が出来、相続トラブルにおけるリスク管理に寄与する書面となり得ます。

複数箇所に請求をかける性質もあり、手数料については関係役所に電話をし確認をする手間もありますし、その殆どは郵送請求になるので、支払い用の定額小為替を郵便局で購入したり、返送用封筒を事前に同封する等細かな注意点も存在します。)


そして、2つ目、【現在戸籍謄本】ですが、これは亡くなった方と相続人の方が【親子関係にある】ことを証明するものとなります。相続人の方の父母欄に亡くなった方のお名前が記されている事でその証明となるのは明らかです。


最後に③「戸籍【謄本】と戸籍【抄本】」の違いですが、相続においては【家族間の身分関係】を証明する必要があるので、「個人事項の証明」となる【抄本】ではなく、「家族全員事項の証明」である【謄本】を取得する事に意味があります。1つの書面で家族の身分関係を紐解くのが【謄本】の特徴ですかね。


上記のようなポイント3つをご理解いただく事が戸籍請求の導入知識となりますが、実際に集めていかなければならない現実を目の当たりにすると、予想以上の混乱をきたす事もままあります。ご依頼者様に手間をお掛けしないよう行政書士としては【戸籍判読のスキル】を上げていく必要があると常々実感しているところです。

関連URL:【行政書士の仕事って何?】

参考URL:【横浜市ホームページ:戸籍謄本 戸籍抄本についてhttps://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/koseki-juminhyo/shoumei/kosekitouhon.html

参考URL:【横浜市郵送請求事務センターhttps://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/koseki-juminhyo/shoumei/yusocenter.html

 

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