【遺産分割協議書と遺産分割協議証明書】

皆さん、こんにちは。神奈川県横浜市港南区で活動中行政書士近田知成です。

第75回目記事投稿となる今回のテーマは【遺産分割協議書遺産分割協議証明書の違い】です。


相続において遺言書が残されていなかった場合、共同相続人間で行われるのが遺産分割協議です。

関連URL:【遺言書と遺産分割】

この遺産分割協議では、その前段階で準備した財産目録( ※ 目録として作成されずとも、財産範囲の確定は必要です。)に基づき、相続人間で話し合いが持たれる事となります。


代表的な例としては・・・相続人がそれぞれスケジュールを調整し、一つの場所に集まり協議を行う型が考えられ、互いの意思を擦り合わせ【遺産分割協議書】を作成する流れが挙げられます。

この場合、合意形成に問題が無ければ、実際に相続人一同が【面と向かって話し合いをする】分、その後の【遺産分割協議書作成】についても円滑に進められるのではないかと思われます。


相続人代表者が作成した【遺産分割協議書】に相続人全員が連名にて実印により押印し、自筆で署名、加え【印鑑証明書を添付】する一連の過程も、同じく【一堂に会した場で行うケース】もありますし、【郵送にて持ち回り】をし、各自送られてきた原本に順次上記の手続きを行う選択肢もあります。

郵送による原本持ち回り】の際に【紛失をしないこと】と、相続人それぞれが各自【署名押印を間違えずに不足なく行うこと】等が、この遺産分割協議書成立のポイントになるかと思います。

また、【遺産分割協議書】作成では、相続人がそれぞれ原本を1通づつ保管するのが通例となります。

その為【相続人が多数】の場合には、【作成に少々手間が掛かる】のがウイークポイントでもあり、相続人全員が原本を保有している分、【各自で相続手続きを行う時に使い勝手が良い】というストロングポイントを持ちます。


一方、この代表的な例に当てはめられない協議の型も存在します。

例えば・・・各相続人の【居住地が全国各地に広がっており、一堂に会するのが困難な場合】が挙げられます。


このようなケースでは、財産承継の話し合いに加え、その内容を書面化するにも工夫が求められます。

顔を突き合わせ話し合いが出来ない分、細かなニュアンスの食い違いが出たり、意思疎通にタイムラグが起こる可能性も考慮しなければなりません。

その為、紛争防止の観点から専門士業の方に仲立ちしてもらう事も検討すべきだと思います。


また、協議内容の書面化においても相続人一同が集まりその場で作成を完了する事が困難である為、この点をどう乗り切るかも問題となります。

遺産分割協議書】に比べて一般的に余り知られていない書面とはなるのですが、上記の問題に対応するべく作成される書面が【遺産分割協議証明書】です。


その特徴は、相続人ごとに署名と捺印をしてもらう証明書を【人数分作成】し、各々が署名・捺印をし、【最後に全てを合わせて効力を発効させる】点にあります。

その効力については、【遺産分割協議書】と何ら変わる要素は無く金融機関や役所でも相続手続きに必要な書類として有効に使う事ができます

遺産分割協議書】のように【原本の持ち回り】をする必要は無く、それぞれの証明書パートを担当する相続人自分の考えるタイミングで【署名・捺印】できる点は、遠方に在住の相続人同士にとってはとても有用であると言えます。

気を付けるべきポイントは、①【遺産分割協議書とは少々文言構成が異なること】、②【最後に各書面をまとめ上げる相続人代表者を誰にするか】③【遺産分割協議書違い多くの場合原本保管は相続手続きをする方の持つ1通のみ】・・・といった点にあるでしょうか。


①の文言構成については、例えば・・・【遺産分割協議書】が文頭表現で【相続人の全員ににおいて分割協議を行った結果、下記の通り各相続人が遺産を分割し取得することを決定した。】とするのに対して、【遺産分割協議証明書】では、【相続人の全員において分割協議を行った結果、下記の通り遺産分割が成立したことを証明する。】のような型になります。

分割協議が〇〇で成立したことを【証明する】と結ぶことがポイントで、表題部分に関して【遺産分割協議証明書】とする点と合わせて間違えないように気を付けなければなりません。


②&③については、【相続手続きを実際にする方】を【相続人代表者】とする事で対応が可能でしょう。基本的に原本が1通となる点、共同相続人間でこの【保管者の選択を誤らないよう】気を配る必要があります。


幾つかの注意点に配慮すれば、【遺産分割協議証明書】は相続実務上とても便利な書面と言えます。

相続人が多く、遺産分割協議書の持ち回りでは時間がかかってしまう】、【相続人が遠方に住んでいて中々会って話すことが出来ない】・・・このようなご家庭では上記の【遺産分割協議証明書】の活用をお勧め致します。

関連URL:【遺産分割協議書作成の要点】 :【お問い合わせ】

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