皆さんこんにちは。神奈川県 横浜市 南・港南支部所属 行政書士 近田知成です。
記事投稿第53回目となる今回のテーマは【相続欠格と相続人の廃除】についてです。
人が亡くなる事により開始される【相続人間での遺産相続】においては、一見して相続分を持つと思われる誰しもが等しく当該手続きに参加できるように見えます。
しかしながら、相続人となるであろう立場の人でも、ある一定の行為をした場合【相続人として不適格である】との烙印を押され、その相続権が否定される場合があります。
これを【相続欠格】と言い、この【相続欠格】に該当する人は、その遺産の承継において財産を相続する事ができなくなります。
この規定は大変強い効力を持ち、たとえ被相続人の方が生前に遺言により【財産を譲る旨】を定めていたとしてもその効力(相続欠格の効力)が消える事はありません。
また、【相続欠格】に該当する事を【何らかの手続き】を経る事で証明するというものでもなく、その【相続欠格】に該当するだけで自然に【相続権を失う】事になるのです。
相続にまつわる様々な問題が表面化している昨今、自らに利がもたらされるよう不正な行為を行う人もおり、当該規定の存在は円滑な相続を行う上での土台となるものとも言えるでしょう。
では、実際にどのような行為をした人が【相続欠格者】となるのでしょうか?下記に記していきますのでご参照ください。
・故意に被相続人または相続についての先順位・同順位にある者を死に至らせ、または至らせようとしたために刑に処せられた者
・被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者(ただし、その者に是非を識別する能力がないとき、または殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族であったときを除く)
・詐欺または脅迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取消しまたは変更することを妨げた者
・詐欺または脅迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、または変更させた者
・相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者
上記のような行為を行った者が【相続欠格】の対象となります。法的にも社会通念を通しても是認出来ない要件ばかりが並び、被相続人財産の承継不可となる【相続不適格者】を法が明確に指し示している事がお分かりになろうかと思います。
次に、その行為を行う事で何らの手続きを経ず【相続不適格者】としてみなされてしまう【相続欠格】事由とは違い、被相続人の意思で生前に手続きを経る事で【相続人としての立場から除外する】・・・【相続人の廃除】についてご説明します。
この【廃除】手続きについては、【家庭裁判所の審判】を受けなければならず、①被相続人が生前に家庭裁判所へ【相続人の廃除の請求手続き】を行うか、もしくは②被相続人が【遺言書の中で相続人の廃除の意思表示】を行っておき、後に【家庭裁判所への請求】を経て認められればその効果が確定する・・・この2つの方法が存在します。
被相続人側の意思を家庭裁判所で認めてもらう型の【廃除】手続きですが、ただ単に被相続人との仲が悪い、長年にわたり連絡もなく疎遠である等の理由だけでその【廃除の意思】を家庭裁判所が認めてくれるわけではありません。
ここにも一定の要件(廃除理由が定められている)が存在し、その要件に該当する相続人の方を手続きを踏んで【廃除】するのが流れとなり、その【廃除理由】は下記のようになっていますのでご確認ください。
・被相続人を虐待した人
・被相続人に重大な侮辱を与えた人
・著しい非行があった人
虐待や重大な侮辱等、被相続人にとって看過する事の出来ない事情が存在する場合には、当該【廃除】手続きを行う事で該当者を相続人から省く事も可能であるというこの規定は、相続が複雑化しつつある昨今誰しもが今一度再認識すべきものとなるのではないでしょうか。
簡単な説明ではありますが、今回の記事投稿では上記2つの【相続人として不適格】なケースをご紹介しました。家庭裁判所への手続きとなる【廃除】に関しては、当職の職域上その申立てに関与する事は出来ません。ご相談の際には他士業の先生をご紹介させていただきますので、その点お含みおき下さい。
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