【遺産分割の方法について】

皆さん、こんにちは。神奈川県 横浜市 南・港南支部所属 行政書士 近田知成です。

記事投稿第36回目となる今回のテーマは【遺産分割の方法について】です。


相続が開始されると先ず【遺言書】が存在するか否かの調査が行われ、【遺言書】があると判明した場合は当該【遺言書】に則った財産分けが進められる事となります(原則的には)。

関連URL:【遺言書と遺産分割】自筆証書遺言【検認】とは?

一方、調査の結果【遺言書】が無いことが分かった場合に行われるのが【相続人全員参加】による【遺産分割協議】です。

この【遺産分割協議】にはいつまでに執り行わなければならないといった期限は存在しません。しかしながら、相続税に関する優遇措置等を受ける可能性も考慮に入れ、迅速に対応しておく方が良い事は言うまでもないでしょう。


遺言書】での財産分けの意思表示もなく、かつ、【複数】の相続人がいる場合には、相続開始によりその相続財産は【相続人全員での共有状態】になります。故人の財産の種類は、不動産、預貯金、株式、権利関係、動産・・・と様々で、その全てが(権利として)共有状態にあるわけですから、相続人の考え方次第では承継したい財産の優先順位等も絡み、その協議は一筋縄では行かないケースも出てくるかと思います。

しかし、【複数相続人の遺産共有状態はトラブルのもと】とも言われ多くの場合は早々に【遺産分割協議】を行う流れとなるようです。

関連URL:【遺産分割協議書と遺産分割協議証明書】

どのケースにおいても【遺産の性質】だけを考慮するのではなく、【相続人各人の生活状況やメンタル面をも含めた互いに理解ある型を模索するべきなのかもしれません。

実際の【遺産分割の方法】としては代表的な型として3種類存在しますので、下記でご紹介いたします。


現物分割

遺産そのものの形を変えることなく、各相続人で分ける方法です。例えば、『実家不動産は長男に、預貯金と株式は長女に』といった分け方です。

この【現物分割】の難しいところは1つ1つの遺産の形を変えない事から【受け取る遺産価値の不均衡】が発生しやすいという点でしょうか。

現金により幾分かの調整が図れれば良いのですが、相続人間の意見が対立すれば長期に渡る話し合いや紛争の芽が現れるかもしれません。最後は互いの歩み寄りがキーとなるでしょう。


換価分割

相続人間の考えが【とにかく、法定相続分通りに】といった形に表れている場合、相続財産(その全部または一部)を処分(売却)現金化、その後相続分に応じて分け合う方法がこの【換価分割】です。

この方法では故人の財産、特に実家不動産(故人の持ち家)に対し深い思い入れのある相続人の方がおられると、その売却に難色を示す可能性もあり、調整が難しくなる場合も考えられます。加え、売却するといっても直ぐに買い手が見つかるかどうかの問題もあり、手続きに(不動産関係の専門家を介する必要性が出て来るかもしれません。

また、不動産売却に付随する税金の発生にも気を配らなければなりませんので、税理士の方に適切なアドバイスを求めることも1つの方策でしょう。


代償分割

相続財産(その全部または一部)を現物のまま相続人の1人又は複数人に取得させ、その相続人の法定相続分を超えた分について、その相続人が自らの金銭で他の相続人に支払う方法となります。

この方法でキーとなるのは、遺産を現物で相続する相続人が他の相続人に支払うもととなる【現金資産を持っているかどうか】でしょう。現金資産で支払えない場合は【代物】での支払いも考えられますが、移転に伴う譲渡益は課税対象となり、この点税理士との緊密な話し合いが必要です。


上記のように【遺産分割の方法】には種々の型が存在し、相続人間の考え方や財産内容・種類も考慮し最善の策を模索する事になります。

財産が不動産に偏り金融資産がないケース、換価価値の高い動産が資産に含まれるケース、借地権や各種会員権等【権利関係】が多いケース・・・等、相続は正に千差万別の様相と言えます。

相続人間の意見対立による【感情的なしこり】を生まない為にも、信頼できる専門家のアドバイスを参考にして円満な形におさめていきたいものです。

関連URL:【遺産分割協議書作成の要点】 :【相続後のタイムスケジュール①】

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