【遺産分割協議書作成の要点】

皆さん、こんにちは。神奈川県 横浜市 南・港南支部・所属 行政書士 近田知成です。

記事投稿第68回目となる今回のテーマは【遺産分割協議書作成の要点について】です。


相続手続きのメインともなる【遺産分割協議書の作成】ですが、法律上その作成様式について特別な規定は無く、記載すべき要点を網羅する事が最大の課題となります。

作成方法に関して言えば、手書きであってもパソコンによる作成であってもかまいませんし、必ずしも【縦書きによらなければならないという事もありません。(ただし、手書きによる作成は作成者の筆記の癖・乱文・脱字等のリスクを伴う為、あまりお勧めは出来ません。)

遺産分割協議書の文面を見た際に【誰が確認してもその内容が明確に示されているといえる】型で作成しておく事が大前提とはなりますが、そのような文面作成を成功させる為には幾つかの要点をしっかりクリアーしなければなりません。


まず第一に、【被相続人の情報と遺産分割協議書の作成日】を記載することが大切です。

この点は必須記載として至って当たり前の事柄なのですが、相続人側が取得することとなる財産の事ばかりに着目し過ぎると予想外に見落とししてしまう恐れもあるので気を付けなければなりません。

被相続人の死亡日(死亡診断書による日付確認)】・【被相続人の氏名(被相続人〇〇〇〇というように氏名の前に『被相続人』を冠するのが一般的)】・【作成年月日(平成〇年〇月〇日)】といった記載要点に漏れがないよう作成者頼みにならず相続人全員がしっかり文面確認をすべきだと言えるでしょう。

(相続人代表者が遺産分割協議書の作成を担う場合、往々にして相続人の中でリーダーシップのある信頼のおける方が作成するケースが多く、その他の相続人の方々において遺産分割協議書への署名・押印のみに着目し、その内容の確認をアバウトに済ます傾向が見受けられます。

しかしながら、このような『丸投げ』の状態は作成者側・作成を一任している側双方にとって『見落としに対するリスク管理』が正常に機能していない状況を表しているとも言えますので、『最終の署名・押印前の文面確認』は必須条件であるとお考え下さい。)


次なる要点として、財産部分の記述では、【不動産】については、【所在地や地積】等を出来るだけ【具体的かつ正確に】記載し、【預貯金】については、【銀行名や口座番号】等細かい点にも気を配り記載していくようにします。

これらの財産記載の情報元として必要となる【登記済証や登記識別情報】、役所にて入手する【固定資産の評価証明書】は相続開始後速やかに取得するようにし、預貯金口座通帳複数口座開設の可能性も踏まえ、通帳の存在だけでなく金融機関からのレター等も合わせて確認をしていく事が寛容です。


上記2番目の要点に関連して、【遺産分割協議終了後に発見された財産(マイナス財産も含め)の帰属先】も作成する協議書に文面として残しておく事もまた大切な点の1つと言えるでしょう。

この点もあくまで【相続人全員の合意が必要】ですが、帰属先が決まったなら例えば・・・

本協議書に記載のない遺産並びに後日判明した資産、債務については相続人○○○○がすべて取得または負担する』・・・といった一文を加える方法も存在します。


最後に【相続人全員が合意】をし、【署名&押印】をします。

使用される印鑑については【実印】が必要です。(市町村役場に届けたもの

実印を役場に登録していない方が相続人の内に居られる場合、速やかに市町村役場に【印鑑登録】の手続きを行い、かつ【印鑑証明書】を発行してもらうようにしましょう。

この【印鑑証明書】も【相続人全員が遺産分割協議書に添付】する必要がありますので各人お忘れなくご用意頂ければと思います。

後の金融機関等の相続手続き内で使用する【印鑑証明書】は【発行後3か月以内のもの】が要件となる場合がほとんどです。遺産分割協議書作成完了の【先にある手続きを見越して印鑑証明書等【公的証明書取得のタイミング】を図るようにしましょう。)

また、【署名】については、【印鑑証明書や住民票記載の通り正確に記載する事も大切なポイントとなりますのでご注意ください。


上記のような注意点を踏まえ、遺産分割協議書は【相続人全員が各自保管する為の通数】を作成する事となります。

目録の作成から協議に入り、合意を形成し最終的に書面化するまでには時間も手間も掛かりますので、協議書に相続人全員の合意として載せる事柄以上の【お互いへの配慮】が、最も必要とされる点なのかもしれません。

関連URL:【遺産分割の方法について】

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