皆さん、こんにちは。神奈川県 横浜市 南・港南支部所属 行政書士 近田知成です。
第35回記事投稿となる今回のテーマは【相続後のタイムスケジュール】についてです。
人が亡くなり相続が開始されると、心苦しい事実ではありますが、遺族の方々の心情の斟酌を抜きにして各相続手続きが行われていく事になります。
その手続きの中には葬儀法要関係のものから、遺産承継関係、相続税申告など税金関係などのものまで多岐にわたり、その幾つかには(特に役所手続き)【申告・提出期限】があり、その期限を念頭に置き行動に移していかなければならないものもあり、一切気を抜く事が出来ません。
今回はそのような【各期限】のあるものを中心に【相続後のタイムスケジュールの概略】をご紹介しますので、是非参照になさってみて下さい。
【被相続人の死亡後すぐ】
【死亡診断書】の作成➡故人が【入院中に死亡】の場合には【死亡診断書】、【事故による死亡】の場合には【死体検案書】が作成される。(後述の死亡届の際添付書類となりますので失くさないようご注意を。)
【被相続人の死亡後すぐ】
【通夜・葬儀】の手配➡【葬儀社の選定】・【葬儀の形式・喪主】等の決定。葬儀社の選定については理想としては【葬儀の生前予約】で事前に決めておく事も考えてはおきたいものですが、実際は【故人の入院先の病院】でファイル等を渡されその中から決定することもあります。この場合には時間的な制限から、慌てて決断してしまう可能性も拭えません。出来る事ならば複数の関係者(ご家族、ご親族など)と連絡調整し、意思共有を図り決定すべきでしょう。
【被相続人の死亡後7日以内】
【死亡届の提出】➡【死亡診断書】又は【死体検案書】を添付し【被相続人の死亡地の市町村役場】に提出。この届出の後に【火葬許可・埋葬許可証】が発行される事となります。(選定の葬儀社いかんによっては当該手続きを代行してもらえる場合もあります。この際、他の手続きの添付書類としての関係上【死亡診断書のコピー】を数通用意してもらうよう葬儀社に伝えておくと良いです。)
【被相続人の死亡後早急に(目安として14日以内に)】
・①【遺言書の有無の確認】➡【自筆証書遺言】の場合は【被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所で検認手続きへ】(遺言書原本・遺言者及び相続人全員の戸籍謄本が必要)【公正証書遺言】の場合は【公証役場への連絡】
・②【役所手続き】➡【国民健康保険資格喪失届】・【介護保険資格喪失届】・【未支給年金給付の請求】・【国民年金受給者死亡届】・【敬老特別乗車証の返還】・【身体障がい者手帳の返還】・【国民健康保険葬祭費申請】・【精神保健福祉手帳の返還】・【指定難病(特定疾患)医療受給者証の返還】
これら②は、ご家族がお亡くなりになった後の【区役所窓口】での手続きで中心となるものです。亡くなられた方の生前の状況により手続きの数も様々なのでその詳細は【区役所担当窓口】へ問い合わせをし、確認しつつ進めるのがベストでしょう。(当該区役所HPで先ず関係資料をプリントアウトし担当者に質問する形も良いかと思います。)
【被相続人の死亡後2か月以内(目安として)】
【遺言書の検認】➡【被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所】※検認については、保管者は相続の開始後遅滞なく、その他発見者は発見後遅滞なく行うようにしましょう。くれぐれも無暗に開封などしないよう気をつけてください。また、【公正証書遺言】の場合には検認手続きは不要です。(検認後には相続人全員が集まり、その場で遺言書内容を確認する事になります。)
関連URL:『検認手続き』http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_17/index.html
【相続人関係書類の取得・相続財産の確認と相続人間の協議】➡故人の戸籍関係を遡り取得し、相続人を確定すると共に財産の種類・額等も確認し【相続関係説明図】と【財産目録】を作成します。相続人間の話し合いは【対面】が基本で時間がかかる可能性もあり、スケジュール調整には【時間的余裕】を幾分考慮して進めなければならないでしょう。
【被相続人の死亡後3か月以内】
【相続の放棄手続き・相続の限定承認手続き】➡【被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所】添付書類(戸籍謄本等必要なもの)のチェックをお忘れなく。先ずは事前に【管轄家庭裁判所】への問い合わせから始められると良いかと思います。
関連URL:【相続における承認と放棄】
【相続開始の翌日から4か月以内】
【所得税の準確定申告】➡税金関係手続きは【税理士】の方、管轄となる【税務署】との相談連絡の上忘れることなく行うようにしましょう。
関連URL:国税庁HP『準確定申告』https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2022.htm
【遺産分割協議書の作成】【不動産相続登記や名義変更】➡銀行や郵便局・証券会社等問い合わせの後、各種名義変更手続きを行います。各機関により持参する書類が異なりますので漏れのないよう気を配る必要があります。また、その手続きにかかる時間も考慮し来店・来局日程を調整するようにしましょう。
【相続開始後10か月以内】
【相続税申告】➡【被相続人の住所地を管轄する税務署】相続財産評価に時間がかかる場合や納税資金の捻出上問題がある場合など様々なケースが考えられます(場合によっては物納・延納等の手続きも合わせ検討していく事となるかもしれません。)相続開始後(又はそれ以前より)これらの事項について心配事がおありの方は早めの段階から【税理士】のアドバイスを受けられる体制を整える事が必要となるでしょう。
関連URL:国税庁HP『相続税申告』https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/2223-01.htm
相続手続きにまつわる基本的な流れ(タイムスケジュール)は上記のようになりますが、これら以外にも【公共料金(電気・ガス・水道等)名義変更】や【自動車関係の名義変更・被相続人の運転免許証返納手続き】【生命保健関係の請求手続き】【病院への支払い】【電話加入権承継手続き】・・・等、相続開始後【早急に】進めるべき事柄はまだまだ存在します。
たった一人でこの全てをこなそうとすれば、身体的にも精神的にも多大な負担が強いられる事となるでしょうから、相続人間で分散し協力し合う体制を組んだり、専門士業の方を活用されるなど工夫して進めることが大切です。
関連URL:【相続サポート】 :【お聞きする事 相続業務編】①
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