【ペットのお世話と遺言書】

皆さん、こんにちは。神奈川県横浜市港南区にて活動中の行政書士、近田知成です。

前回に引き続き、遺言書作成目的について記述していきます。

関連URL:【遺言書による寄付】

今回は、【特定の人物への財産承継ではなく、自身亡き後の【愛するペットの生活保護】を目的とした遺言書作成の注意点をご紹介します。


最近、とある場所にて一人の方がこのようなお話をしているのを耳にしました。

お小遣いを貰った後は携帯をいじるばかりで話しすらしない孫より、常に自分の傍らにいてくれるペットの方がよっぽど可愛い・・・。』

何だか笑えない話ではありますが、今の世を生きる人間にとってペットは最早単なる愛玩動物という概念を超え【唯一無二の大切な家族】なのだという代表的なエピソードとも捉えられます。

特に最近では、【一人暮らしのご高齢の方】がペットを自身の生活に迎え入れ、正に人生のパートナーのように接し、大切になされている場面を多く目にするようにもなりました。

それだけ人の生活に欠かせない相棒としての存在感が【ペット】にはあると言えるのでしょう。


常日頃【ご自分に大きな健康上の問題がなくペットのお世話が出来ているうちは今後の事も比較的大らかに考えていく事が出来ると思います。

しかしながら、もし自身の身に何事かが起きた場合大切な家族である【ペットのお世話】を誰がしてくれるのか?・・・という問題が必ず持ち上がります

このような不測の事態備えて遺言書】を活用し、あらかじめ、【自身亡き後のペットの生活保護】を第三者に依頼しておく方がおられるのも事実です。

もし、今後上記のような【遺言書作成による予防策】をご検討される方がおられましたら、以下のポイントを踏まえ作成に繋げて頂ければと思います。


ポイント①【負担付遺贈を趣旨とした遺言書を作成する

今回のケースでは、自身の身に何かしらが起き早晩ペットのお世話出来なくなるかも知れないという状況を仮定します。

確たる意思表示を残さなければペットの生活に支障が出てしまう事態と言えますので、【第三者に明確な意思表示】をしておく事は必須と言えます。

そのような場合、時間的制約の下速やかに【遺言書作成に移る】必要から、遺言書作成をサポートしてくれる士業の方の力を借りるのも一つの方法となるでしょう。

関連URL:【お問い合わせ】【ご依頼の流れ】

問題となるのが、【遺言書による意思表示】は作成者の単独行為】で、ペットのお世話をしてもらう【相手方を拘束できない】点にあります。

遺言書内で頼んではみたものの執行の段階にて、その【遺言を放棄されてしまった】となっては意味がありません

その為、【無償での依頼】ではなく、【一定の財産を譲り渡す代わりにペットのお世話をして欲しい旨】の遺言書を作成する方が無難であると思われます。

また、(当たり前のことながら)依頼の相手方が行う【お世話】はペットが生きている限り継続されていくものです。

遺贈する【財産の価格決定】においては、【お世話の中でかかる費用を考慮した金額を提示する必要が出てくる事も合わせ検討が必要です。


ポイント②【遺言執行者を指定しておく

遺贈を遺言書にて行う場合、【遺言執行者】を定めておくようにしましょう。

関連URL:【遺言執行者とは?】

負担付き遺贈】について注意すべきは、財産の譲り渡しのみが行われ肝心の負担部分(今回で言うところの【ペットのお世話】)が履行されないという懸念にあります。

この点の【監視的役割】を果たしてもらう為にも、【遺言執行者の選任】は欠かす事の出来ないポイントとなります。


ポイント③【(出来るならば)お世話をしてもらう方の了承を得ておく

作成までに時間的制約や体調上の問題があるにしても、何らかの方法相手方にアポイントをとり【遺言の趣旨・お世話を担当してもらえるか否かの返答・お世話の中心的内容】位はお伝えしておく必要があるかと思います。

電話メール連絡だけでは補いきれない情報がありますので、仲介人となる方を活用し面談で話を進める方法もご検討下さい。

また、遺言書作成者側の体調如何にはなるものの、追加で【ペットが病気になった際のかかりつけ獣医の情報】、【食の嗜好や散歩の傾向】、【ペットが亡くなった場合の荼毘のふし方】も(遺言書に詳しい内容として載せる事はないものの)お伝えしておく価値はあろうかと思います。

そして、何よりご自身の願いを叶えるためには、【ペットに対する愛情と誠意を欠かさない信頼に足る方を受贈者とする事が絶対条件となるでしょう。


今回は【遺言書を活用したペットの生活保護】について【負担付き遺贈】のポイントをご紹介しました。

健康を害してしまってからの遺言書作成には様々な試練が立ち塞がります。(ご自身の入院や治療に時間をかけることになるでしょうから・・・。)

関連URL:【遺言作成の適齢期】

本来的には【ご自身が健康であるうち】に、【ペットの生活保護】に(負担付遺贈に比べて)より確実な実効性を持たせる型である【死因贈与契約書を公正証書で残しておく方が良いという事も合わせてお伝えしておきたいと思います。

関連URL:【遺言書作成をお勧めするご家庭ケース】【遺言書って本当に必要?】

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