【遺言の撤回や変更について】

皆さん、こんにちは。横浜市港南区で活動中の行政書士 近田知成です。

記事投稿第66回目となる今回のテーマは【遺言の変更や撤回は可能か?】です。


生前の最終意思として残される遺言書ですが、作った後に『やはり、この部分は○○にしたい。』であるとか、『この部分は無しにしたい。』というような思いを持たれる方も多いのではないでしょうか。

また、そもそも『以前に作った遺言書そのものを撤回したい。』という考えをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

作成当時は『この内容でベストだ。』と考えていたものであったとしても、その後に生じた様々な事情により遺言内容の【変更や撤回】を検討するのはごく自然な事だと思われます。

今回の記事では、【遺言書の変更や撤回】についてのポイントをご紹介していきたいと思います。


① まず、大前提として『1度作った遺言書を変更したり撤回する事は出来るのか?』という点ですが、これは可能です。

遺言を作成した人は、いつでも遺言全部または一部を撤回したり、その遺言の一部のみの変更をすることが出来ます

以前に作成した遺言書内容に、作成者自らが拘束されていては、その後の考えの変化に柔軟な対応が出来ません。

変更や撤回ができる】事は、遺言書の大きな特徴である点お見知り置き下さい。


② 次に、変更や撤回の方法ですが、以前に作成した遺言書と同様に、【民法に定められた方式により】行う事が要件となります。

作成方式については・・・

自筆証書遺言➡【自筆証書遺言について】

公正証書遺言➡【公正証書遺言について】

と過去の記事をご参照頂ければと思います。(公正証書については、公証人先生にご依頼する型ですので、成立要件について過度の心配は無用でしょう。)

以前に作成した遺言書が【自筆証書遺言】である場合、『変更や撤回をする際にも自筆証書によらなければならないのか?(逆に、公正証書ならば変更や撤回も公正証書でなければならないのか?)』という点ですが、決してそういうわけではありません

自筆証書で作った遺言書内容に不満が残った場合に、次は公的書面としての確実性を高める公正証書にて新たな遺言内容を綴る事も可能ですし、公正証書で残していた遺言書内容を時間的・手間的要素を考慮して、今度は自筆証書で残す事もまた可能です。

変更や撤回を主旨とする遺言においても、自筆・公正証書どちらの方式を採用するかはご本人の自由意思によります。

大切なのは、作成時に【法に則った方式で書き残す】点にあると言えるでしょう。


③ そして、②にも関連するのですが、2回以上作成された遺言書については、自筆証書、公正証書等その【遺言書の種類】により優劣をつけるのでは無く、【日付けの先後により効力の有無を確定させる型となります。

比べることとなるどちらの遺言書も【法に則った方式要件を満たしている】事が前提ですが、特に変更・撤回を目的とする新たな遺言書を作成する場合には、一刻も早く作成を完成させたいとの思いからその内容ばかりに気を取られ、成立要件である方式の遵守を疎かにしてしまう可能性も考えられますので、この点くれぐれもご留意頂ければと思います。


④ 最後に、『~を変更する』や『~を撤回する』といった文言を使っての遺言書を作らなければ効果が生まれないのか?という問題ですが、必ずしもその必要はありません

前回の遺言内容と異なる遺言書については、【その内容の抵触する部分において、後の遺言で撤回した】ものとみなされます。

つまり、【変更】・【撤回】という文言そのものを使わずとも、新しい遺言書を作成する事でその意思を示す事が可能なのです。


今回ご紹介した【遺言書の変更・撤回】については、素朴な疑問でありながら、意外と遺言書作成を躊躇する一要因となりえる事柄であると思われます。

上記のポイントをご理解いただき、作成に繋げていただければと思います。

 

 

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