皆さん、こんにちは。 神奈川県 横浜市 南・港南支部所属 行政書士 近田知成です。
第33回記事投稿となる今回のテーマは【遺言における付言事項】についてです。
自筆証書であれ公正証書であれ、民放所定の【遺言書】では、その内容として法的効力の認められる事項が決まっており、これら以外の事項を記載したとしても【法的効力は無い】という事になります。
関連URL:【遺言書にかける事って何?】
この点については以前の記事にも掲載したのですが、では、実際【遺言書】作成おいてこの【法的効力の無い事項】を記す事にはどのような意味又は意義があるのでしょうか?
メリットの1つとしては、その法的効力の無い事項でも、法的効力のある事項を遂行してもらう為の下支えとして記す事で【遺言の相手方の心理面にプラスに作用する】効果が見込まれるという事が挙げられます。
例えば、遺言者ご自身亡き後の【生活保障を考えてあげなければならない配偶者や子供(高齢で独り身となる配偶者や障がい等を持つ子)】に他の相続人よりも手厚い型で財産を遺す遺言書を作成する場合や、農業や事業を営んでいる遺言者が事業用財産を区別して相続人の1人に承継させる場合などが想定してみて下さい。
このような場合には、【付言事項】として【当該遺言書の趣旨(遺言者自身が熟考した上での判断である旨)】や【相続人においては遺言者の意思を尊重してもらいたい旨(相続で争うことのないよう)】、【家族皆で仲良くして暮らしてもらいたい旨(要望として)】・・・等を付け加え【相続人に遺言者の思いを汲み取ってもらい】遺言執行を円滑に進める方法が考えられます。
どのような内容を記すかは、遺言書を作成される個々人に委ねられますが、その主旨として相手側の心情に訴えるべく記述する事項なのですから、少なくとも個人を非難するような内容であったり【法的効力を持つ事項(遺言書中の)】と矛盾する内容等を記載しないよう気を配る必要はあるでしょう。
また、【自筆証書遺言】を作成する場合には、【法的効力のある事項】と【付言事項】とを1つの文章中に混ぜ記述しないよう気を付けて下さい。まずしっかりと【法的効力のある事項】を記述した後、最後の締め括りとして【付言事項】を載せ、日付記入・記名・押印で終わらせる・・・これが定型と言えるでしょう。
(【公正証書】で作成の場合は、その型も【公証人】のアドバイスのもと検討されることになるでしょうから、その点安心感はあります。)
【遺言書】を作成し【財産分けの方向性】を示す際、少なくとも※【遺留分】に配慮した内容のものを遺す事が望まれるのは周知の事実です。(行政書士が【遺言書作成支援】をする時もこの【遺留分】の存在には常に気を配り対応する事になります。)
関連URL:【遺留分とは?】 :【遺言書と遺留分の関係】
しかしながら、やむにやまれぬ事情(上記のように残される中に心配なご家族がいる等)から【幾分偏った内容の遺言】を遺す方も少なからずおられるでしょう。
確かに【付言事項】そのものには前述したように【法的効力】はありません。その内容を斟酌するか否かは【遺言書内容を知った】相続人や受遺者の方々の心ひとつとなります。ただ、【付言事項】に遺言者の真の思いが載せられている事には意味があると私は思います。
【付言事項】を生かすべく、【遺言者】側としては【生前から】【自身の思いを汲み取ってもらう為】の環境作りを整えていく事が大切となります。【遺言書】にその願いが書かれていたとしても【各相続人(特にその遺言書の内容を知り不公平感を感じる可能性のある方々)】の理解が無ければその執行は困難なものとなるのは明らかです。
大切なのは、【付言事項】そのものの存在より、むしろ【付言事項を尊重】してもらう為、日々の生活の中でご家族(ご親族等含め)と【密にコミュニケーションをはかる事】にあるのではないでしょうか。
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