前回に引き続き【遺言書にまつわる疑問】を記していきます。
関連URL:【遺言書にまつわる疑問①】
疑問⑤【動画で遺言を遺せないか?】
昨今、スマートフォンが普及している事もあり、誰しもが気軽に動画を撮影出来るようになってきました。形式にとらわれず映像メッセージ(ビデオ等映像記録の活用)として【遺言】を遺そうとお考えの方もおられるかもしれません。
しかし、結論から言って【民放所定の形式によらない】遺言は法律上無効であり、その点【映像形式での遺言に法的効力は無い】という事になります。
ただ、この映像を【自筆証書遺言書】の【補完材料】として遺しておく事には意義があると言えるでしょう。【自筆証書遺言書】作成時の状況を自ら撮影し保管する事で、後に【遺言書の存在証明】の一助には寄与するかもしれません。
疑問⑥【遺言書に書く日付と名前はどうする?】
民放所定の遺言書における絶対的成立要件として【日付と名前】が存在しますが、これらの事項についてはどのように書けば良いのでしょうか?
【日付】は【年月日まで余さず記入する】事が必要です。曖昧な表現(例えば 〇年〇月吉日であったり、〇年〇月までしか書いていない等)は避け、出来ればカレンダー通り正確に【平成〇年〇月〇日】又は、【西暦〇〇〇〇年〇月〇日】と記入するようにしましょう。
日にちまで要件として求められる理由として、後に2つ以上の遺言書が出てきた場合【日付の新しい遺言】内容の方を優先とするからです。
次に、【名前】ですが、これは自身の【苗字と名前(フルネーム)】を素直に記述するべきです。雅号、ペンネーム、通称・・・等でもその方が遺言者であると確実にわかるものであればその有効性を認める向きはあるものの、疑義を持たれず【遺言書】の法的効力を生かす為にもやはり、【姓と名前】を記す事をお勧めします。
また、法的効力をという意味で更に信用度を高める為には【戸籍謄本など公的書面記載の通り】に記述する事も大事です。この点は【姓名に旧式の漢字が使われている人・同じ読みの漢字でも字体が違う人】に特に意味のある事項と言えるでしょう。
例えば【サイトウ】さんであるならば➡斉藤・齋藤・齊藤と、その漢字がそれぞれ微妙に違いますので、公的書面で確認をし、間違えずに記入する事が大切です。
疑問⑦【公正証書遺言を作りたいが公証役場に行けない場合】
健康上の理由で入院をしていたり、お身体を悪くされ中々外出が出来ない方等が【公正証書遺言】を作りたいと考えた時、どのような選択肢を取るべきなのでしょうか?
先ずは、【公証役場】に問い合わせをし、自らの状況と要望を【公証人】の方にご相談してみる事をお勧めします。
【公証役場】に勤めている【公証人】は役場内で各種公的書面作成を行うと共に、依頼人の状況により必要とあらば【出張】をしてその書面作成プロセスを組んでくれます。この型を利用すれば【公正証書遺言】を遺す事も可能となるでしょう。
ただし、【公証人への出張依頼】には気を付けるべき点が存在します。
【公証人】は自身が所属する法務局又は地方法務局の管轄を越えその職務を執行する事が出来ない決まりとなっています。つまり、依頼者側としては、【出張先の場所】を管轄している【公証役場】の【公証人】に【公正証書遺言】作成を頼む必要があるという事になります。
関連URL:『公証人の職務執行区域』http://www.koshonin.gr.jp/system/s02/s02_07
(ex: 入院先が東京であるのに、神奈川の【公証人】に東京での出張依頼をする事は不可。)
ちなみに、これは【公証人】側の管轄による一種の縛りなので、【依頼者側】から遠く離れた県外の【公証役場】に赴きその場で【公正証書遺言】を当該公証役場の【公証人】に作成してもらう型は可能です。
また、【出張依頼】となると、【公正証書遺言作成】のベースとなる料金に加え、別途追加料金として【出張料】がかかる事が考えられますのでこの点も留意すべきでしょう。
疑問⑧【公正証書遺言作成時の証人に相続人がなれるか?】
【公正証書遺言】作成にはその遺言者が本人であるか、自己の意思に基づき口述をしたか、【公証人】による筆記が正確であるか・・・等を確認する為2名以上の証人を選定する必要があります。
作成当日【公証役場】において印鑑持参の下同席をし、署名押印をする大切な役割がある当該【証人】ですが、果たして身近な【相続人】の方に依頼しても良いのでしょうか?
結論としては、【当該遺言書の内容に利害関係のある方は証人にはなれない】事になります。
具体的には 【・推定相続人(遺言者死亡により相続人になる人)および受遺者(遺言により遺贈を受ける人)並びにこれらの配偶者、直系血族 ・未成年者 ・公証人の配偶者、4親等内の親族、書記や使用人】が挙げられます。
内容が極めてデリケートなものになる【遺言書】ですので【証人】にもその点倫理観をもって業務を遂行すべきです。その点我々行政書士は【守秘義務】を負っていますし、【公証人】の方とも連絡調整可能とあり、【証人業務】において適任かと思います。
2回に渡り【遺言書作成初期段階においての】【遺言書にまつわる疑問】を幾つかご紹介して参りましたが、これらの事項以外にも細かな注意点は様々存在します。
疑問をお持ちになったらお一人で抱え込む事無く、当該分野の専門職の方に早々にご相談される事をお勧めします。また、私自身もその助けの一翼を担えるよう日々精進して参ります。
関連URL:【遺言書作成前のステップ①】 :【遺言書作成前のステップ②】
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