皆さん、こんにちは。神奈川県 横浜市 南・港南支部所属 行政書士 近田知成です。
記事投稿第34回目となる今回のテーマは【遺言執行者について】です。
遺言は作成する事がゴールでは無く、その【遺言内容を実現する事】が最終目標となります。その点を踏まえ【遺言書】を作成するにあたり考慮しなければならない重要な事項として【遺言執行者の指定】が挙げられます。
【遺言執行者】は遺言者が遺した【遺言内容を実行する人】であり、【遺言書の中で指定】する事が出来ます。【遺言執行者の指定】は遺言書の※【法定遺言事項】に該当し【公正証書遺言】作成時では遺言者亡き後円滑に相続手続きを進めるために当該執行者を指定しておく事が通例となっています。
通例という表現からもお分かりの通り、この【遺言執行者の指定】は【遺言書作成】において絶対的に行っておかなければならないものではありません。(【法定の遺言事項】の幾つかには【遺言執行者】がいなければなし得ないものも存在はしますが。ex:推定相続人の廃除又は取消し等)
しかし、【遺言執行者を指定】しておく事で、相続人間のしがらみから一歩離れた立場で業務を遂行でき、引いては【遺言書】作成の最終目標である【遺言書内容の実現】に近づく手立てとなり得ます。
関連URL:※『法定遺言事項』【遺言書にかける事って何?】
では、【遺言者】側として【どのような方】を遺言執行者として選択し、依頼すれば良いのでしょうか?
まず、第1に【遺言執行者】になれない人の把握から始めましょう。
【遺言執行者】になれない人【未成年者】・【破産宣告を受けた人】
上記の方々は【遺言執行者】にはなれません。この点は選択前の大前提としてお見知りおき下さい。
次に、【どのような方が適任なのか?】ですが、ここは個人の見解により様々な考え方が存在します。基本的に【遺言執行者】となる方に【特別の資格等】の必要はありません。信頼できるご友人であったり、相続人間の連絡調整に重きを置く方は【ご親族】等を選択されるかもしれません。
ただし、当該【遺言執行者】の業務は【相続財産の管理】であったり、【法的な手続き】【申告等の役所手続き】がメインでありますので、その点考慮に入れ【法律関係の専門士業】の方に依頼する事も一つの方法ではあるかと思います。(これらの方を選べば【中立的な立場】で物事を進めていくでしょうし、このスタンスが【様々な思いが交差する相続という場面で生きてくる】可能性もあります。)
また、気を付けるべき点として、どのような方にご依頼するにせよ【遺言者自身がご高齢】である場合【ご自分より年長の方】を選択する際は、【遺言執行者が遺言者よりも先に亡くなってしまう可能性】も考慮に入れ最終判断をすべきでしょう。
いずれにせよ、【遺言執行者】になってもらう方とは、【遺言書】作成以前よりコミュニケーションを図り、出来得る限り細かく【遺言内容説明】をし、執行の業務についての理解と明確な承諾を受けておく事が必要です。
ちなみに、【相続人】の方はこの【遺言執行者】になれないのかというとそういう訳では無く、①【相続人全員が協力し各手続きを行う】事も可能ですし、②【家庭裁判所に遺言執行者の選任の申し立てをし、選任者が執行する】型も出来ます。
関連URL:『遺言執行者の選任』http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_18/index.html
しかし、ここでやはり問題となるのが【相続の当事者である相続人】が【遺言執行者】として業務を遂行する事の困難さでしょう。【遺言内容に不満がある方(相続人)】が手続きに非協力的で一向に進まなかったりする可能性を否定できない限り、【遺言者】としては【中立的な立場で実務をこなす存在】はとても大きなものになると思います。
このようなご不安が少しでも想起される方が【遺言書】を作成される場合には、【遺言執行者】の有無とその適格性についても熟考し、作成プロセスを組んでいく事をお勧めします。
関連URL:【遺言書による寄付】:【遺言書と遺産分割】
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