皆さん、こんにちは。神奈川県 横浜市 南・港南支部所属 行政書士 近田知成です。
第11回目投稿となる今回のテーマは、【自筆証書遺言について】です。
自分が残していく財産を巡り子供達や相続人となる人々が泥沼の紛争を繰り広げる事を望む人などいるはずもなく、生前自身が元気なうちに「遺言書」を作っておき、遺産分割協議時に発生するかもしれない【相続人間の対立】を予防しておいた方が良い・・・と言った話は巷で良く聞くようになってきました。
ただ、【遺言書】といっても公証人先生や専門家に依頼し形作る【公正証書遺言】を第一選択肢として選ぶにはちょっと【敷居の高さ】を感じる(費用、日程、手間的な不安等も合わせ)方も多いのではないでしょうか?
そのような時、【自筆証書遺言】であるなら【自分一人】でも作成できますし、【費用も掛からず】、【いつでも好きな時に】作成できるので【手軽さを最優先】とした遺言書作成といった意味ではオススメとも言えます。(最初に【自筆証書遺言】を作っておいて、心理的な垣根を取り除き、後に【公正証書遺言】作成と繋げていく方もおられます。)
しかし、その【手軽さ】を【適当さ】と履き違え、せっかく作った遺言書の効力にケチが付いてしまっては元も子もありません。その点を踏まえ幾つか注意しなければならないポイントがありますのでご紹介したいと思います。
(※現在進められている相続に関する民法の規定改正によって今後変化する点もあるかもしれませんが、現時点における注意ポイントとしてお見知り置き下さい。)
注意ポイント①【その全部を自分で書く事】
【自筆証書遺言】については【全て自分で書く】事が絶対的な要件となります。
その全文(簡潔に要点をまとめ、内容が不明瞭にならないようご注意)、日付(例:平成〇年〇月〇日と正確に記し、〇月某日であるとか、〇月吉日といった形はダメです)署名(戸籍上のフルネームが良いでしょう)は元より、文字の訂正、書き加え、変更についても第三者ではなく【ご自身がその箇所を指示して】訂正、書き加え、変更の旨を付記する事が必要です。
そして、その書き方ポイントの1つとして、【財産分け】の部分と【その他の事項(例えば、どうしてその様な財産分けにしたのかの理由や自身の思い等)をキッチリ分けて書く(ごちゃまぜにして分かりにくくしない。)事も大切です。
また、【不動産】等の情報を載せる場合には、【不動産登記簿謄本】の通りに書くというのも重要点の1つと言えるでしょう。
注意ポイント②【遺言書本人が押印する事】
【遺言書そのもの】に【押印】して下さい(遺言書を封入した封筒等にではなく)。認印でも拇印でも良いのですが、【自筆証書遺言】が【検認】手続きを経るという性質を持つ事から、その手続きを円滑に進めるため【実印】で押印する方が無難かもしれません。加え、【印鑑証明書】をとっておき1セットで保管すればよりベターだと言えるでしょう。
関連URL:自筆証書遺言【検認】とは?
注意ポイント③【保管場所を良く検討する事】
【公正証書遺言】については【原本が公証役場に保管】されるため、その保管場所について気に病む事はほとんどありませんが、【自筆証書遺言】については、その保管についても【遺言書ご自身が自ら場所を決め保管する】のが基本です。よって、その内容秘密の保持に長けているはいるものの、【紛失や変造の恐れ、または、相続発生時にその遺言書が見つからない】等の危険性も孕みます。
この点においては、作成した【自筆証書遺言】を封書に入れ、その封書に【遺言書在中、家庭裁判所以外で開封しないように】と追記をし自宅に保管、自身の財布等にも【〇〇に遺言書があるので調べるように】といったメモ書きを入れておく・・等の工夫をするやり方もあります。
このように、【自筆証書遺言】はその【手軽さ】から、そもそもの【遺言書を作る事へのアレルギー】度合いとしては比較的低い段階にあるとは思います。
しかし、全て自分で書くという点からみても民放所定の方式を逸脱した自己流となってしまう恐れがあったり、その【法的効力】について相続人の一部から横槍が入ったりといった疑念がデメリットとして付きまとうかもしれません。
専門家が文案作成を支援し、公証人が作成そのものを担当する【公正証書遺言】のほうが【確実性と安全性】に長けている事は言うまでもありません。
次回はその【公正証書遺言】について記述していきたいと思います。
関連URL:【自筆証書遺言:制度改正について】 :【遺言書って本当に必要?】
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